モンサントの除草剤 Roundup による発癌被害裁判、裁判官が陪審の懲罰的賠償を大幅減額

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モンサントの除草剤 Roundup による発癌被害に関する裁判で、陪審員による多額の懲罰的賠償を裁判官が大幅に減額する例が続いている。

カリフォルニア州の Pilliod 夫妻(70歳代)がともに非ホジキンリンパ腫と診断された。二人はMonsanto が販売を開始した1970年代から自宅でRoundupを使用していた。二人は地裁に訴えた。

陪審員は2019年5月13日、5週間の審理の後、Monsantoの除草剤が2人の発癌の原因とみなし、原告の弁護士の要求額の2倍の20億ドル以上の賠償を命じた。賠償として55百万ドル、懲罰的賠償が20億ドルである。

Bayerにとって3件目の敗訴である。

これについて、California Superior Court(Oakland )の判事は7月25日、賠償額を引き下げた。

損害賠償   17 百万ドル←55百万ドル
懲罰的賠償  69百万ドル←20億ドル

判事は、陪審の懲罰的賠償は過大で憲法違反であるとした。

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1件目の原告は学校の校庭の管理人で、30年以上にわたって除草剤を扱ってきたが、非ホジキンリンパ腫にかかっており、医者は2020年まではもたないだろうとしている。原告の病状を鑑み、審理を早めた。全米で7月末で約 8千件の訴訟があるが、最初の裁判である。

カリフォルニアの陪審員が2018年8月10日に、損害賠償 39百万ドル、懲罰的賠償 250百万ドルの合計289百万ドルの賠償評決を下した。

Monsantoは、glyphosateは世界で最も広く使用されている除草剤で、発癌性はなく、何十年もの研究が人体に安全であることを示しているとし、控訴した。

San Francisco Superior Court は10月23日、損害賠償は39百万ドルのままとし、懲罰的賠償は39百万ドルに大幅減額した。Bayerの主張は通らず、株価が下落した。


2件目の原告Edwin Hardemanは1980年から2012年にかけ、カリフォルニア州北部Sonoma郡の自宅でラウンドアップを定期的に使用。その後、がんの一種である非ホジキンリンパ腫と診断された。

米カリフォルニア州地方裁判所の陪審は2019年3月19日、「Roundup」ががんを発生させた「事実上の要因」だったとの評決を下し、3月27日、被害に対して527万ドル、懲罰的賠償で75百万ドルとした。

サンフランシスコの地裁判事は7月16日、被害に対しては527万ドルを認めたが、懲罰賠償は20百万ドルに減額した。被害に対して15倍もというのは憲法から認められないとした。

2018/8/28 Bayer のMonsanto買収完了と、Monsantoの除草剤への賠償命令判決 

2019/5/21 Monsantoの除草剤 Roundup による発癌被害での裁判で20億ドル超の罰金 

最高裁は2004年のState Farm Insuranceのケースで、懲罰的損害賠償金の填補賠償金に対する比率が2桁になるようなケースは、憲法違反の恐れがある」と指摘した。

同時に、「被告に重大な過ちがあるのに填補賠償金が相対的に少額な場合には、91のような高い比率の懲罰的損害賠償金も認められるが、填補賠償金が十分に大きい場合には1対1のような低い比率が適切である」という考え方を示した。


これまでの3件をまとめると下記の通り。

原告 陪審員 裁判官判断
1 校庭の管理人 カリフォルニア 2018/8/10 Superior Court 2018/10/23
損害賠償 39百万ドル 39百万ドル
懲罰的損害賠償 250百万ドル 39百万ドル
2 Edwin Hardeman カリフォルニア 2019/3/27 地裁 2019/7/16
損害賠償 527万ドル 527万ドル
懲罰的損害賠償 75百万ドル 20百万ドル
被害に対して15倍もというのは違憲
3 Pilliod 夫妻 カリフォルニア 2019/5/13 Superior Court 2019/7/25
損害賠償 55百万ドル 17 百万ドル
懲罰的賠償 20億ドル 69百万ドル 
陪審の懲罰的賠償は過大で憲法違反

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