東京電力は7月24日、福島第2原発の廃炉を近く決定すると正式に表明した。小早川社長が福島県の内堀知事 に「廃炉の検討にめどがついた。月末の取締役会で正式に決める」と伝えた。
福島にある原発は10基全てが廃炉になる。
福島第2の4基は各110万キロワットで、福島第一と同じ沸騰水型炉。1982~87年に運転を始めた。東日本大震災では津波で3基が原子炉の冷却機能を失ったが、過酷事故は免れ、その後はずっと運転を停止している。
一般的な廃炉では1基あたり30年程度の工程だが、福島第2については福島第1の廃炉作業と並行するなどの理由から人手の調整が必要とみており「全4基の廃炉を終えるには40年超の期間が必要だ」とした。
福島第2には原発のプールに使用済み核燃料が約1万体ある。 知事は県外への全量搬出を求めているが、東電では、空冷で保管する乾式貯蔵施設を敷地内に設けて一時保管し、廃炉が終わるまでに県外に全量搬出する方針も示した。但し、搬出先は「検討中」としている。現時点では受け入れを認めるところは無い。
国内ではこれまでに下記の原発の廃炉が決まっているが、複数基ある発電所の中で全基を廃炉にするのは福島第1を除いては初めて。
廃炉 | ||
北海道電力 | ー | |
東北電力 | 1 | 女川① |
東京電力 | 10 | 福島第1①~⑥ 事故 福島第2①~④ |
中部電力 | ー | |
北陸電力 | ー | |
関西電力 | 4 | 美浜①② 大飯①② |
中国電力 | 1 | 島根① |
四国電力 | 2 | 伊方①② |
九州電力 | 2 | 玄海①② |
原電 | 1 | 敦賀① |
合計 | 21 |
福島第2の廃炉が決まれば、東電が所有する原発は、建設中の東通原発(青森県)を除き、柏崎刈羽原発の7基だけとなる。
柏崎刈羽の6号と7号は2017年12月に、沸騰水型としては初めて、安全審査に合格したが、県では原発事故の検証や、重大事故時の避難計画の整備が不十分だとして、現状では再稼働は認められないとしている。
新潟県知事が是非を判断するのは2022年夏前までずれこむとみられる。地元の柏崎市長は6、7号機の再稼働に同意する条件として1~5号機の廃炉計画づくりを求めている。
1号~5号は安全審査の申請をしていない。再稼働の考えはないが、廃炉については福島の廃炉優先で、計画には至らない状況。
なお、柏崎刈羽の安全対策費が約1兆1690億円に膨らんだとされる。2016年に6800億円と見込んだが、テロ対策施設の建設費用が嵩んだ。再稼働しても発電コストは悪化する。
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東電は福島第2の廃炉費用を約2800億円と見積もっている。
同社では2018年度末で2126億円を引き当てており、残りの700億円弱の費用処理が必要である。
一般の会計原則では、廃炉が決まれば引当不足分を一気に損失計上する必要がある。政府は電力会社救済のため2013年に「廃炉会計制度」を導入した。
実際の解体開始までに安全貯蔵期間(運転終了から10年)が必要であるが、その間、償却を認めるというもの。(料金に含める)
東電では、この制度を活用する考えだが、業績に与える影響は「精査中」としている。
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