米通商代表部(USTR)は7月1日、EUによる欧州の航空機大手エアバスへの補助金を巡り報復関税を課す可能性のある40億ドル相当の追加品目リストを公表した。前回と合わせると総額250億ドル相当となる。
欧州エアバスと米ボーイングが絡む通商紛争で、世界貿易機関(WTO)の紛争処理手続きの最終審に当たる上級委員会は2018年5月15日、EUによるエアバスへの補助金がボーイングに損害を与えたとの判断を下した。
WTO上級委員会は2019年3月28日、米国政府による米航空機大手ボーイングへの補助金提供はWTO協定に違反するとのEUの主張をおおむね認める判断を下した。
航空機産業への支援をめぐって10年以上続いた米欧間の通商紛争は事実上、痛み分けの形で決着した。
WTOの判断をもとに、米国とEUは報復関税の応酬を行っている。
米国:
2019/4/8 USTR
EUによるエアバスへの補助金を不当とし、EUに対する追加関税措置の暫定リストを公表 (210億ドル相当)、大型商用機やその部品のほか、乳製品やワインを含む。
USTRは、EUの補助金により米国が毎年110億ドルの損害を被っていると試算しており、最終的な追加関税の対象額は2019年夏の発表が見込まれるWTOの裁定に従い決定するとしている。
Trump 大統領
「WTOはEUによるエアバスへの補助金で米国が損害を被っていることを認めており、EU製品110億ドルに対して関税を課す。EUは長年、貿易で米国につけ込んできたが、間もなく終わる」と発言している。
7/1 USTR
追加で40億ドル相当の品目リスト
オリーブやイタリア産チーズ、スコッチウイスキーなどさまざまな食品や酒類
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EU:
4/17 欧州委員会
米国に対する追加関税措置の200億ドル相当の暫定リスト公表
品目は500を超え、航空機に限らず、化学品から農水産・食品(冷凍食品、かんきつ類、ケチャップなどを含む)まで広範にわたる。
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