日本が協力するロシアのメタノール生産計画が始動

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ロシアの政府出資ファンドのRussian Direct Investment Fund (RDIF)は6月29日、Russia-Japan Investment Fund を共同で運営するRDIFと日本のJBIC IG Partners(下記参照)が、ロシアのインフラ投資・運営大手AEON Infrastructure Corporation とともに、RDIFがロシアのVolgogradで計画しているメタノール工場建設計画に協力することで合意した。

調印はG20出席のため大阪に来ているプーチン大統領、安倍首相の出席のもとに行われた。

併せて、AEONの子会社のGTM ONEは丸紅との間で、生産されるメタノールの供給契約に調印した。工場の設計業務は、GTM ONEと三菱重工の間で結ばれた契約に基づき行われる。

メタノールの能力は年産100万トンを超える。

以上がRDIFによる発表で、出資比率等については触れていない。丸紅もこの事業に参加しているが、日本側の発表はまだない。

この計画は、日ロ経済協力の一環である。

2016年5月、ロシア南部のソチで開催された日露首脳会談において、安倍 首相からプーチン大統領に対して、日露経済交流の促進に向け、8つの項目からなる協力プラン提示し、以降、日露でプロジェクトが進められている。

計画は、年産100万トン以上のメタノールをVolgogradにあるKhimprom の工場跡地に建設するもので、総投資額は8億ドル以上となっており、2020年初めに建設を開始し、2022年後半の完成を目指す。

Khimpromの工場跡地には必要なインフラ設備は整っており、生産に必要な天然ガスが十分に供給されるようになっている。

Volgogradにはロシアと中央アジアの天然ガスが東ルートパイプラインで運ばれる。

製品は生産全量を輸出する。この立地からは、最低のコストで製品を市場に輸出できる。

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メタノール工場を建設する立地は、Khimpromの工場であった。

Khimpromは1931年に建設された化学会社で、化学兵器の神経ガスを生産していた。1959年にサリンガスを、1967年にソマンガスを生産開始した。これらは1987年に公式に生産停止した。

しかし、1991年にソ連の第4世代化学兵器計画("Foliant"計画)の一環として、5~10トンのバイナリー神経ガスを生産したといわれている。

毒性物質の前駆体となる二種類の化学物質が容器内に物理的に隔離された状態で同梱された二種混合型兵器。使用されたとき、容器の中の二種の化学物質が混ざり化学反応を起こすことによって毒性物質を生成する。

ソ連崩壊後は、同社はオキシ塩化リンやリン化合物、フッ素化合物を生産していた。

2000年代に入り、同社の財政状態は悪化し、2012年に破産宣告した。

工場の生産は2014年に完全に停止し、2015年1月に清算され、従業員は解雇された。同時に、数十年の稼働で汚染された環境被害の回復が開始された。

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