東京電力、ウラン購入契約解除の仲裁で敗北

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東京電力ホールディングスは7月16日、カナダのウラン生産大手Cameco Inc.とのウラン精鉱の購入契約解除を巡り、約45億円の賠償金の支払いを命じられたと発表した。

Cameco はカナダ・サスカチュワン州Saskatoonに本社を置く、世界最大手のウラン鉱山会社のひとつ。
1988年にカナダ国営企業の Eldorado Nuclear LimitedとSaskatchewan Mining Development Corporation が合併して誕生した。

東電はCamecoとウラン精鉱購入契約を締結してウラン精鉱を購入していたが、2017年1月24日に本契約の条項(Cameco発表では "force majeure 条項")に基づき本契約を解除

これに対しCameco同年519日、東電に対し、①契約解除が無効であることの確認、②契約に基づくウラン精鉱の引取、③引き取らな場合の損害賠償、④仲裁関係費用の支払い等について国際商業会議所に仲裁を申し立てた。

 仲裁地:東京仲裁規則:国際商業会議所仲裁規則、準拠法:米国ニューヨーク州法

Camecoは仲裁廷の指示により、請求の金銭的評価額が4,000万米ドルであることを明らかにしていたが、20171215日、損害賠償額を同時点で総額 681.9百万米ドルとした。


東電は7月13日に国際商業会議所から仲裁裁定を受領したが、仲裁廷は本契約が契約条項に従って解除されたとの東電の主張を認めず、東電に対して損害賠償金として40.3百万米ドル,仲裁関係費用等として約1.7百万米ドル及び利息の支払いを命じた。

東電は、本裁定の内容を精査した上で適切に対処していく所存としている。Camecoによると、契約上、仲裁の決定に対して控訴等は出来ない。

Camecoでは、仲裁が東電による契約解除を認めなかったことを嬉しく思うが、約7億ドルの求償に対し、賠償額が少ないのに失望したとしている。

同社によると、裁定には秘密保持命令が含まれており、発表できる情報に制限がある。

このため、「"force majeure 条項"による契約解除」を認めなかった理由 、それなのに賠償額が極めて少ない理由は分からない。

東電の原発は刈羽6号、7号が再稼働の認可を受けたが、地元の了承が得られていない。


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