東芝メモリの4~6月期、952億円の赤字

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東芝メモリホールディングスが8月8日に発表した4~6月期連結決算は、売上高は2,142億円、最終損益が952億円の赤字となった。

営業利益は989億円の赤字だった。これにはPangeaによる旧東芝メモリ買収に伴う固定資産・棚卸資産の取得金額の配分手続き(PPA=Purchase Price Allocation)の影響 285億円(損)と停電の影響344億円(損)を含む。

営業外損失として、借入金期限前返済、優先株期限前償還等で194億円の損失を計上した。

PPAでは、棚卸資産を1,388億円、固定資産を4,295億円 増加した。
棚卸資産については2019年3月期に全額コスト化した。
固定資産については2019年3月期に884億円を償却、残りは総額の95%まで、2022年3月期までに各年1,000億円程度償却する。

2019年3月期では、合計2,272億円を費用化した。当期損益は税効果で1,584億円の損失増となった。

2017年4月1日に東芝からメモリ事業を会社分割し(旧)東芝メモリが発足した。2018年6月1日にBain Capitalを軸とする企業コンソーシアムにより組成される ㈱Pangeaが買収、東芝メモリ ㈱となった。 議決権は、東芝 40.2%、HOYA 9.9%、Bain Capital 49.9%である。

2019年10月1日付で社名を「キオクシア㈱」に変更する。

2019/7/19 東芝メモリ、「キオクシア㈱」に改称 

同社の決算推移は次の通り。(億円)

旧東芝メモリ

東芝メモリ

2018/3月期 '18/4~5 '18/6~19/3 2019/3月期計 2019/1~3 2019/4~6
売上高 12,294 1,894 10,745 12,639 2,470 2,142
営業利益 4,568 704 459 1,163 -284 -989
 (うち一般) (4,568) (704) (2,731) (3,435) ( 23) (-360)
 (PPA影響) (-2,272) (-2,272) (-261) (-285)

(停電影響)

(-344)
当期純利益 7,186 489 116 605 -193 -952

 2018/3月期の当期純利益には、法人税調整額▲3,346億円(益)を含む。

特殊要因を除いた営業利益が大幅に減少している。主力製品であるNAND(ナンド)型フラッシュメモリーの価格下落が続いているためである。

フラッシュメモリーの価格は、2016年後半から2017年にかけて急騰した。その結果、2017年9月に2兆円という価格で売却が成立した。

ところが2018年以降、メモリー価格は急落を続けてきた。

朝日新聞(2019/2/27)によると、東芝メモリの2018年7~7月期に「30%台後半」だった利益率が、10~12月期は「20%台半ば」に低下。2019年1~3月期は営業利益がゼロに近い状態に落ち込みそうだという。
同社幹部は「昨年末から厳しい局面にある」と話す。

米中摩擦の激化で世界経済の先行きに不透明感が広がり、スマホの増産やデータセンターの増設などの投資が控えられていることが大きい。

2019年1~3月期は営業利益がほぼゼロであったが、4~6月期には実質で360億円の赤字となった。当面、事態が好転する気配は無い。

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