Apple、Intelのモバイル向けモデムチップ事業を買収

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米 Apple は7月25日、Intel のスマートフォン向け通信半導体事業を買い取ることで同社と合意したと発表した。買収額は10億ドルで、関係官庁の認可を受け、第4四半期の取引完了を目指す。

スマホ分野での高速通信規格「5G」への対応を断念した Intelから、知的財産や研究開発の設備、約2200人のIntel 社員を取り込み、スマホの中核技術である通信半導体の自社開発に弾みをつける。

Appleは自社の無線関連の特許と取得した特許を合わせ1万7千件以上を持つこととなる。

一方、Intel は、パソコン、IoT(internet-of-things)器具、自動運転自動車など、スマホ用以外のモデムを開発する能力を維持する。5Gではスマホ以外のデータセンター向けサーバーやネットワークに力を入れる。

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これまで、QualcommがAppleにiPhoneの通信機能をつかさどる半導体モデムチップを供給するという協力関係にあった。

しかし、Appleは過去の取引条件の見直しを迫り、Qualcommを提訴した。QualcommはAppleの主張を否定するとともに、特許侵害があったとして逆提訴した。

2社の関係は大幅に悪化、Appleは2016年以降、Qualcomm製モデムの搭載比率を引き下げ、代わりにIntel 製モデムを採用した。「iPhone」の現在のモデルのiPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XRにはIntelのモデムが採用されている。

しかし、Intelはまだ5Gモデムを発表しておらず、AT&T、Verizon、Samusung電子等が相次いで5G 対応スマホを発売する中、Qualcommから5Gモデムの供給を受けられないAppleは発売できないでいる。


AppleとQualcommは4月16日、Appleの契約メーカー(Contract manufacturers) との間のものも含めて、すべての訴訟を取り下げることで合意した。

この和解を受け、Qualcommに代わってAppleにモデムを供給しているIntelは同日、5G対応のモデムの開発から撤退すると発表した。

IntelはApple以外には需要家を見つけておらず、この和解でAppleとQualcommの関係がもとに戻ったため、この分野で開発を続ける意味がなくなった。

2019/4/18 AppleとQualcomm、知財紛争で全面和解

Appleはこの事業を買い取ることで将来の内製化に近づくほか、Qualcommとの調達交渉も有利に進められるようになる。

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