Tevaなど、ジェネリック薬販売遅延契約で罰金、帝国製薬も

| コメント(0)

カリフォルニア州司法長官は7月29日、Tevaなど4社がジェネリック薬の販売を遅らせ、薬価を高止まりさせた件で、各社がカリフォルニア州に対し合計約70百万ドルを支払うことで合意した と発表した。

これは Pay-for-delay または"Reverse payment" と呼ばれ、先発医薬品メーカーが後発医薬品メーカーに対して特許権侵害訴訟を提起した場合に、当該訴訟を和解により解決する際の方策として、先発品メーカーは後発品メーカーに一定の金銭を支払い、後発品メーカーは後発品の上市を一定期間遅らせることに同意するというもの。競争制限的であるとして、米国のFTCがとくに積極的に取り締まっている。


このうち1件はTeva Pharmaceutical Industries が「居眠り病」治療薬 Provigil のジェネリック薬の上市を約6年間遅らせたもので、Tevaは69百万ドルを支払う。

日本の商品名モディオダールで、覚醒を維持するための精神刺激薬。

Tevaはこれを、FTCとの同様の和解に基づき2015年につくったファンドから支払う。

カリフォルニア州では、このような契約により、ジェネリック品があった場合と比べ、消費者は90%以上高く買わされているとしている。

69百万ドルのうち、25百万ドル以上が2006年から2012年の間にこの薬を買ったカリフォルニア州民のための消費者ファンドに払われる。

もう1件は帝国製薬の帯状疱疹後神経痛の医療用パップ剤(貼付剤)Lidoderm®に関する、TevaとEndo Pharmaceuticals と米国帝国製薬が絡むもの。

司法長官は、Endo Pharmaceuticalsとの間で同様の行為を8年間しないことと76万ドルの支払いで合意したとしている。帝国製薬とは20年間の禁止で合意したとする。

実はこの件の集団訴訟は既に2018年3月に和解している。今回の76万ドルは州への支払いである。

帝国製薬の帯状疱疹後神経痛の医療用パップ剤(貼付剤)Lidoderm®は米国ではEndo Pharmaceuticals を通じて販売されている。

2013年以前にEndo Pharmaecuticals はジェネリック薬メーカーのWatson との間で、Lidoderm®の安いジェネリックを上市するのを遅らせる協定を結んだ。

Watsonは、96百万ドル相当の"free brand Lidoderm"、及び、Endoと帝国がWatsonの製品の上市後 7.5カ月間は正規のジェネリック品を上市しないことの約束と交換に、ジェネリック品を9カ月遅らせることで合意した。

このWatsonの後発薬事業は下記の経緯で現在はTevaの事業となっている。

Watson Pharmaceuticalsは2012年4月25日、ジェネリックメーカーのActavis Groupを42.5億ドルで買収することで合意した。Watsonは社名を2013年からActavisに改称した。

そのActavisは2014年11月17日、しわ取りの医薬品BOTOX®が有名なAllergan plc を660億ドルで買収することで合意した。買収完了の3ヵ月後に、買収した会社の社名のAllerganに改称した 。

Teva Pharmaceutical Industriesは2015年7月27日、Allergan から後発薬事業を買収することで最終合意したと発表した。

この結果、Endoと上記の契約をしたWatsonの事業は現在はTevaの事業となっている。

2015/7/29 後発薬最大手のTeva、米 医薬大手の Allerganから後発薬事業買収

この集団訴訟で、賠償額を下記の配分とした。

Endo $100 million
Teva $112 million
Teikoku $ 59 million
Total $271 million

コメントする

月別 アーカイブ