ファイザー、特許切れ医薬品事業を後発医薬のマイランと統合へ

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米製薬会社のPfizerは、高コレステロール血症治療剤「リピトール」や男性用性機能障害治療薬「バイアグラ」を含む特許切れ医薬品事業(Upjohn Division) を、後発医薬品メーカーの米Mylanと統合する。


特許切れ医薬品や後発薬は米国での値下げ圧力の高まりなどから事業環境が厳しさを増しており、Pfizerはこれを切り離し、新薬・ワクチン事業に集中する。

統合新会社の2020年12月期の予想売上高は190億~200億ドルとしており、後発薬分野で世界最大手のTeva Pharmaceutical を上回る。

新会社の売上高は先進国市場が5割強、アジアを含む新興市場が4割強となる。2023年までに年間10億ドル規模のコスト圧縮効果が見込めるとしている。

統合は全株式交換のReverse Morris Trust方式で実施され、Mylanの株主は新会社の43%を取得、残りをPfizer株主が保有する。統合後の新企業は株式を公開 する。手続きは2020年半ばに完了の見通しで、新たな社名がつけられる。  

新会社の執行会長にはMylanの現会長が、CEOにはPfizerのUpjohn部門の現社長が就任し、Mylanの現CEOは退任する。

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Pfizerの歴史:

Upjohn部門は2003年にPfizerに統合された。

Pfizerとアイルランドに拠点を置く同業のAllerganの両取締役会は2015年11月23日、満場一致で両社の合併を承認した。実質的に、Pfizerによる1600億ドルでのAllergan 買収となる。

形式的には、Pfizerの事業とAllerganの事業は Allergan plc に統合され、アイルランド法での企業となるが、社名を"Pfizer plc" に改称し、New York Stock Exchangeに上場する。
実務上の本拠はNew Yorkに置く。

この買収は過去最大の"inversion"(納税拠点の低税率国への移転)」となる。

2015/11/26 Pfizer、アイルランドのAllerganを買収 

Pfizer は2016年4月6日、Allerganとの合併を両社の合意で中止すると発表した。

米財務省が4月4日、税率の低い国へ本社を移転する税逃れ行為「インバージョン」をめぐり追加措置を発表したが、これが合併契約書に規定している「不利な税制変更」に該当すると看做した。

PfizerはAllergan買収を通じて本社を税率の低いアイルランドに移す考えだったが、米国の新たな税制では本社移転による恩恵がなくなる。

2016/4/7 Pfizer とAllergan、合併計画断念 

Pfizerは2016年9月26日、2012年から検討してきた会社分割を見送ると発表した。

特許で保護された製品を扱うPfizer Innovative Health と、低成長のジェネリック製品を扱うPfizer Essential Health を分割して別々の企業として上場する案を撤回した。

2016/10/4 Pfizer、会社分割を見送り

Pfizer と英 GlaxoSmithKline(GSK)は2018年12月19日、一般用医薬品(大衆薬)事業を統合すると発表した。
合弁会社を設立し、GSKが68%、Pfizerが32%出資する。

2018/12/21 GlaxoSmithKlineとPfizer、大衆薬事業を統合 

Pfizer は2019年1月26日、Wyeth を680億ドルで買収すると発表した。

2009/1/27 PfizerWyeth を買収

Pfizerは2019年6月17日、悪性黒色腫(メラノーマ)の治療薬を持つ米バイオ医薬品のArray BioPharma Inc.を負債引き受けを含め114億ドルで買収すると発表した。

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日本では、Pfizer と Mylan は後発医薬品事業で長期戦略的業務提携を結んでおり、マイラン製薬のジェネリック医薬品の多くは、Mylanが主に研究開発および製造を担当し、Pfizerが主にマーケティングおよび販売を担当している。

米国のPfizer とMylanは8月23日、日本における後発医薬品の開発、製造、流通、販売について、独占的な長期戦略的業務提携を締結したと発表した。

2012/8/31 Pfizer と Mylan、日本での後発医薬品事業で長期戦略的業務提携

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