起訴されたLevandowski被告は自動運転の世界では名の知れたエンジニアで、カリフォルニア大学在学中の2004年に自動運転バイクを開発し、2007年にGoogleに入社 した。同社が2009年に始めた自動運転プロジェクトの中心メンバーのひとりで、走行データを元に3次元の地図をつくったり、周囲の状況を把握したりする「レーザー画像検出と測距」(light detecting and ranging:LIDER)チームを率いていた。自動運転の中核技術である。
被告は2016年1月にGoogleを退社し、自動運転トラックの会社 Otto を設立した。同年の後半にOttoはUberに買収され、LevandowskiはUberの自動運転車プログラムの統括者となった。
被告とUber の経営陣は、2015年秋ごろからOttoの買収で話し合いを進めていたという。
2017年にGoogle傘下で自動運転車を手掛けるスピンオフ企業Waymoが、UberがWaymoの自動運転車開発に必要な技術に関する企業秘密を盗んだとして提訴した。
この訴訟は審理の5日目の2018年2月9日、両社が法廷外で和解に達したとWaymoの弁護士が裁判所に伝えたことで、突然の終結を迎えた。
和解の一環として、WaymoはUber株式の0.34%を取得する。時価総額換算して、約245百万ドルに相当するという。またUberは、Waymoの機密情報を自社のハードウェアおよびソフトウェアに組み込まないことにも同意した。
UberはWaymoとは和解したが、Waymoの親会社のGoogleが、被告がGoogleを退社する前に守秘義務契約を無視して1万4千のGoogleの自動運転に関する重要な技術情報の秘密ファイルを自分のハードドライブにダウンロードしたと訴えた。
被告は有罪となれば、10年以上の懲役、25万ドルの罰金となる。
これについて被告側は、情報を盗んではいないと主張する。ダウンロードしたのは勤務中で、彼のチームは情報の利用を認められていた。これらの秘密情報はUberにも他の会社にも渡していないとしている。
当局の狙いはイノベーションと脱法の線引きがあいまいな側面もあったシリコンバレーの文化に警鐘を鳴らすことにある。
検察はウーバーを起訴はしなかったが、競争の名の下にグレーゾーンに踏み込んだとの疑念を暗に投げかけている。
検察は「人が会社を行き来することは自由だ。だが会社を去る時にポケットにモノをたくさん詰めることは許されない」との声明を出した。
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