既報の通り、英下院は3日、議会進行主導権を政府から議会に移す動議を賛成328票、反対301票の賛成多数で可決し、野党・労働党などが提出した離脱延期法案の審議入りを可能にした。
事前の警告通り、与党保守党はこれに賛成した議員21名を党籍停止した。これにより与党は民主統一党の10名を加えても298名となり、639名(議長らとシンフェイン党の計11名を除く)の47%に減った。
下院は9月4日夜、「合意なき離脱」を阻止する離脱延期法案を賛成327票、反対299票で可決した。
党籍停止者のほか保守党の1名が賛成した。反対には与党のほかは独立党3名、労働党1名であった。
10月19日までに新たな離脱案が通らなければ、離脱日を10月末から2020年1月末に延ばす案で、「何が何でも10月末に離脱する」と主張してきたジョンソン首相にとって大きな打撃となる。
法案は上院に送られる。通常は下院で通った議案は上院でも可決されるが、強硬派が審議を妨害する可能性がある。
続いて、ジョンソン首相がEU離脱の是非を問うための解散総選挙を提案したが、賛成 298、反対 56、棄権285となり、必要な2/3以上の賛成を得られなかった。
賛成は与党の294名、労働党の1名、独立党の1名で、反対は野党の56名。野党の大半は「まず合意なき離脱を阻止する法案が上院で承認されるべきだ」として棄権した。
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英議会上院は9月6日、法案を承認した。法案は上下院双方の賛成を得たため、エリザベス女王の裁可を経て、週明け9日にも成立する。
首相は週明けの9日に、4日に議会で一度賛成を得られなかった解散総選挙を議会下院へ再提案する。選挙日は延期をEUに申請するか判断する期日の前の10月15日を想定している。
前回、野党は「まず合意なき離脱を阻止する法案が上院で承認されるべきだ」として棄権したが、上院で承認されたため、条件を満たした。しかし、野党はEU首脳会議(10/17-18) 以前の総選挙阻止で一致したとされる。
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ジョンソン英首相の弟で閣外相(ビジネス・エネルギー・産業戦略省と教育省の閣外担当相)のJoe Johnson下院議員は9月5日、閣僚 を辞任するとともに、次の選挙には出馬しないと述べた。
「過去数週間、家族に忠誠を誓うのか、それとも国益を選ぶかで身が引き裂かれるほど悩んだ」と述べた。2016年の国民投票では兄とは異なり、EU残留に票を投じた。
英国のAmber Rudd 雇用・年金相は9月7日、ジョンソン政権の閣僚を辞任し、保守党も離党すると表明した。反対派の議員やEUに攻撃的なジョンソン首相の姿勢に反発した。
付記
エリザベス女王は9月9日、EUからの離脱延期を求める野党法案を裁可し、同法は成立した。
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