Google は9月12日、フランスで疑われていた課税逃れを巡り、9億6500万ユーロを支払うことで仏国税当局と和解した。
フランス国内における2005年から2018年にかけての事業活動が対象となるもので、支払いの内訳は罰金5億ユーロ、税金4億6500万ユーロ。
報道ではGoogleは追徴課税13億ドルの支払いが求められていた。有罪を認めることなく起訴を免れる仕組みで、Googleは長引けば企業イメージの悪化につながるとみて、和解を選んだ。「数年続いていたフランスでの見解の違いに終止符を打った」との声明を出した。
法人税率が低いアイルランドに欧州本社の機能を置くことでフランスでの課税を免れたなどとして仏当局が2015年から捜査し、2016年にはGoogleのパリ拠点を家宅捜索していた。
Google は海外事業について、法人税率が12.5%と欧州最低水準のアイルランドに欧州の本社機能を置き、権利(無形固定資産)を安い対価で移している。
さらに、この会社は法人税がゼロのバミューダで管理するため、アイルランドでは非居住者となり法人税が免除される。
アイルランド会社が事業を行い、ライセンス収入はオランダ子会社経由でアイルランドに移すことで源泉税を免れている。
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2005年以降の追加分として130百万英ポンド(約220億円)を納税、同年以降も従来よりも高い税率で法人税を納める。
これまでのシステムを変更し、英国での利益について英国で税金を支払うこととした。
2016/1/26 Google、追加納税で英税務当局と合意
Google、アップルなど米IT企業は利益の大部分を、低税率国やタックスヘイブン(租税回避地)にとどめ、実際に利益を上げている消費者のいる国々で十分な税負担をしていないと批判されてきた。
欧州委員会はこれまでも米IT企業の課税逃れに対し、厳しい姿勢で臨んできた。
2016年には米アップルが不公正な税制優遇を受けていたとしてアイルランド政府に追徴課税するように要請 、2018年9月にアイルランド政府は、アップルが追徴課税分と利息を含め総額143億ユーロを支払ったと明かした。
2016/9/1 EU、アイルランド政府にApple への130億ユーロの追徴を命令 及び 付記
日本、中国、インド、英、仏、独など約60カ国は2017年6月7日、グローバル企業による課税逃れを防ぐための新たな多国間協定に パリのOECD本部で署名した。
2017/6/15 課税逃れ防止の多国間協定に60カ国が署名
20カ国・地域(G20)と経済協力開発機構(OECD)はデジタル課税の導入で2020年までの合意を目指している。
欧州委員会は2018年3月21日、デジタル分野における課税に関する指令案を発表した。
2019年3月末までに加盟国でつくる閣僚理事会での合意を目指していたが、アイルランド、スウェーデン、デンマーク、フィンランドの4カ国が反対、足並みが揃わず、digital taxの合意を見送った。
2019/3/12 EU、デジタル課税合意見送り、仏英など独自課税へ
このため、フランス上院は2019年7月11日、Digital Services Tax法案を可決し、Macron 大統領は7月24日にこれに署名、これが法律となった。
課税事業の全世界売上が750百万ユーロ以上で、フランスのユーザーからのそれが25百万ユーロ以上のデジタル企業を対象に、対象売上高の3%の課税を行うもので、2019年1月1日に遡及する。
Trump大統領は7月26日、フランス議会が米テクノロジー大手各社へ課税するDigital Services Tax 法案を可決したことを受け、同国に対し「相当な」報復措置を取ると宣言した。フランス産のワインなどに関税をかける構えを示した。
フランスのマクロン大統領は8月26日、フランスの「デジタル課税」を巡り、米国と合意を得たことを明らかにした。
マクロン大統領は主要7カ国首脳会議(G7サミット)閉幕後、トランプ米大統領と共同会見し、「二国間の取り組みとして多くの作業を行い、両国の不和解消に向け合意を得た」と述べた。
フランスのデジタル課税と経済協力開発機構(OECD)がまとめている課税制度に基づく税収の差額を仏政府が企業に払い戻す方針で暫定合意に達した。
2019/7/31 フランスのデジタル課税法案成立、米国は報復を示唆
今回の和解について専門家の間では「Googleは支払いに応じ、仏当局は米国を刺激しない程度の金額にとどめることで双方妥協した」との見方が出ている。
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