米Appleに部品を供給していた電子部品メーカーの島野製作所が、Appleに独占禁止法違反があったなどとして損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は9月4日、島野側の請求を棄却する判決を言い渡した。
付記 島野製作所は9月17日、請求を棄却した東京地裁判決を不服として東京高裁に控訴した。
付記 東京高裁は2020年7月22日、1審東京地裁判決を取り消し、裁判管轄が米国側にあるとして訴え自体を却下した。
「紛争は米カリフォルニア州の裁判所で解決する」との契約時合意は有効
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島野製作所は、電源アダプターに使われる「pogo pin」というるコネクタ部分の接触端子の専業メーカーで、2005年からApple のノートパソコン(Magsafe、Magsafe 2)に接続する電源アダプタ側の端子向けに、単独サプライヤーとして供給してきた。
島野は2012年にApple から増産要求を受け設備投資を実施したが、直後に取引を急減させられた。
島野は取引回復を求めたが、納入価格を半額以下にするよう要求され、さらに納入済みの在庫部品についての値下げ分として約159万ドルのリベート支払を求められた。
島野はいずれの要求にも従ったが、2014年8月にApple を相手に独占禁止法違反と特許権侵害で訴えた。
① 独禁法違反等 リベート支払等に関する損害賠償請求(約100億円)
② 特許権侵害 一部のアップル製品についての販売差止及び損害賠償請求(約10億5千万円)
両社の契約には、「係争をアメリカの裁判所で解決する」との規定がある。
東京地裁は2016年2月15日、「係争をアメリカの裁判所で解決することを定めていた両社の合意は、合意が成立する法的条件を満たしておらず無効」と判断、国内で審理することを決めた。
2016/2/20 島野製作所の対アップル訴訟で国際裁判管轄の企業間合意に無効判断
このうち特許権侵害について、東京地裁は3月17日、島野製作所の請求を棄却する判決を言い渡した。
島野は控訴したが、知的財産高裁は2016年10月26日、特許権の侵害がないとした一審・東京地裁判決を支持、島野製作所の控訴を棄却した。
詳細は 2016/11/3 島野製作所、アップルの特許裁判で敗訴
特許権侵害については、島野の完敗である。
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今回、残る独禁法違反についての判決があった。
島野側は2014年8月、Appleが発注を突然停止し、再開の条件として代金減額やリベート支払いを要求したと主張。債務不履行や独禁法違反(優越的地位の乱用)に当たるとして、東京地裁に提訴した。
裁判長は判決で、両社は基本契約で米カリフォルニア州法を準拠法と規定していたと指摘した。(2016年の東京地裁判決では、この合意は無効としたが。)
債務不履行については、州法に基づけばAppleが発注予測として示した数量を注文する義務はないと判断した。
独禁法違反については、原告側が州法に基づく主張や立証をしていないとして「不法行為の成立は認められない」と判断した。
島野製作所は「現時点でコメントは控えたい」としている。
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