スコットランドの高等裁判所(Court of Session)は9月11日、議会を長期間にわたり閉鎖したジョンソン首相の措置を違法とする判断を示した。提訴した野党議員らの「非民主的だ」という主張を大筋で認めた。


政府は直ちに上訴する方針を表明。舞台を最高裁に移し、17日にも審理入りする見通し。

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英国議会は7月26日から夏季休会で、9月3日に再開した。これに先立ち、ジョンソン首相は 8月28日、エリザベス女王に9月9日の週から約1カ月間の議会の一時閉会を要請した。閉会手続きには女王の許可が必要だが、女王はこれを許可した。

10月14日に議会を再開しても10月17日にはEU首脳会議があり、議会は、議決や議論を行うための時間的余裕がないことになる。

2019/8/30 英ジョンソン政権、異例の議会封じ 

これに反対して、各地で訴訟が行われた。

ロンドンの裁判所は、首相が女王に議会の一時閉会を要請したのは"political"なものであり、裁判所が介入するものではないとし、却下した。裁判所が判断する法的基準はないとしている。

スコットランドの裁判所は、議会の閉会で首相は法を犯しておらず、首相の行動を判断するのは裁判所ではなく、議員と有権者であるとして却下した。

今回はその控訴審で、スコットランドの高等裁判所の3人の判事は違法とする判断を示した。

3人の判事は一致して、首相は「議会を妨害する不適切な目的」で動き、女王をミスリードして議会を閉会させたとした。

「このため本裁判所は、首相の女王への助言とそれに基づく議会の閉会は違法であり、無効であると宣言する。」

今回の議会閉会は合法的な権力の使用ではなく、議会を妨害する戦術であるとして、一審の判決に同意しないと述べた。

3人の判事の一人は、これは公権力の一般に受け入れられた基準に明らかに合致しないひどいケースであるとした。閉会の目的は、議会の妨害無しに合意なき離脱政策を進めるためのものだと述べた。

他の判事は、政府は閉会のはっきりした理由を示していないとした。政府と首相は議会を制約したいとしていると推測されると述べた。

結論として、首相の女王への閉会の助言は、目的が議会の審議を妨害するためであれば違法であるというもの。議会による政府の審議は英国の憲法の柱であり、民主主義の原則、、法の支配から得られるものであるとしている。