Brexit 協定案、採決先送り

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英下院は10月19日(土曜)、新協定書の審議を行った。

Johnson首相は、「Brexitの更なる遅延は意味なく、犠牲が大きく、国民の信用を深く蝕むものだ」と述べた。

これに対し、労働党のCorbyn党首は、「首相は離脱協定をより悪くした。政府は信用できず、議会は騙されない」と述べた。

Theresa May 前首相は、「合意なき離脱を望まないなら、これに賛成せよ」と述べた。

議員からはいろいろな修正案が出た。

議長はその中から、次の順で投票することを決めた。

1)  Oliver Letwin 修正案

9月に保守党の党籍を停止されたOliver Letwinが、「新協定書に基づく法律が可決されるまで離脱協定案承認を棚上げする」との議案を出した。

離脱協定案が可決された後に「合意なき離脱」に転じる可能性を回避するもの。協定案が下院通過後に上院で却下されたり、可決後の法制化プロセスで一部の議員が態度を変えたりすることを懸念している。

この修正案には労働党のヒラリー・ベン議員、自由民主党のジョー・スウィンソン党首、ウェールズ党プライド・カムリのリズ・サヴィル・ロバーツ英議会代表といった野党議員に加え、元保守党で閣僚経験のあるデイヴィッド・ゴーク議員、フィリップ・ハモンド議員なども賛同を示し た。

とにかく離脱を遅らせるという点で賛成する議員も多かった。

2) Peter Kyle修正案

最大野党・労働党のPeter Kyle議員は、合意なし離脱を拒否するとともに、イギリスとEUの将来の関係についての「最終決定」を国民投票に委ねるべきだという修正案を提出した。

3) 政府提出の新協定案

4) 合意なき離脱案

ーーー

午後11時までに決まらない場合、通称「ベン法」により首相はEUに延期を要請するよう求められている。

しかし、新協定案が可決されても、Letwin 修正案が可決された場合は、首相はEUに来年1月末までの離脱期日の延期を要請する必要がある。

ジョンソン首相はこの議案が通った場合、離脱協定案を取り下げ、保守党員は全員引き上げさせることを決めた。首相案の敗北を避けるのが目的。

1番目のLetwin 修正案の採決結果は下記の通り。

保守党の党籍離脱(除名)者のうち5名が反対したが、民主統一党は賛成し、可決された。

議席数 投票 10/19 Letwin 修正案
2017/6/8
選挙結果

増減

現状

賛成 反対 棄権
保守党 317 -29 288 287 283 4
民主統一党(DUP) 10 0 10 10 10
(与党) (327) (-29) (298) (297)
労働党 262 -18 244 242 230 6 6
スコットランド国民党 35 0 35 35 35
自由民主党 12 +7 19 19 19
独立グループ 0 +34 34 34 18 17 1
The Independent Group for Change 0 +2 2 2
Change UK 0 +5 5 5 5
シンフェイン党 7 0 7
ブライドカムリ 4 0 4 4 4
緑の党 1 0 1 1 1
無所属 1 -1 0
議長 1 0 1
合計 650 ±0 650 639 322 306 11

投票せず:議長、副議長(保守1、労働2)、Sinn Fein党7 合計11


2番目以降の議案の投票は中止となった。

ジョンソン首相は、「10月末の離脱を実現するためにできる限りを尽くす」と離脱を諦めない姿勢を示した。週明けの21日にも、今回求められた離脱法案を通すための議会手続きに着手する。

しかし、議会の賛成多数を得られるかどうか、見通せない。

ジョンソン首相は9月上旬、EUに離脱期限の延長を申し入れるくらいなら「野垂れ死にした方がましだ」と発言。その後もことあるごとに「離脱は延期しない」と繰り返した。

今回、通称「ベン法」の規定により、首相はEUに離脱期限延長を要請する書簡(①)を送ったが署名を入れず、代わりに離脱を今月末から先延ばしにしたくない旨を表明する書簡(②)に署名した。

英国の駐EU大使は別の書簡の中で、離脱延期を要請する書簡は、法律に従うために送っただけだと説明した。

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