韓国向け半導体材料 輸出規制の状況

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政府は7月1日、韓国への半導体材料の輸出規制を厳しくすると発表した。有機ELに使うフッ化ポリイミドなど3品目について、個別に審査・許可する方式に切り替える。安全保障上の友好国である「ホワイト国」の指定も削除する。

2019/7/3  政府、半導体材料の対韓輸出規制を発表 

韓国産業通商資源部の通商交渉本部長(次官級)は10月2日、国会による国政監査で、日本政府が7月上旬に半導体・ディスプレー材料であるフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジスト(感光材、フォトレジスト)の3品目の対韓輸出規制を強化して以降、これまでに7件の韓国向け輸出を許可したことを明らかにした。

産業通商資源部は前日、日本の輸出承認件数は気体フッ化水素(エッチングガス)が1件、フッ化ポリイミドが1件、レジストが3件の計5件と伝えていたが、その後、エッチングガス2件の承認が追加で確認された。

報道では下記の通りで、フォトレジストの3件目は不明。

承認 購入企業(供給元)
フッ化ポリイミド 9/30 韓国の中小企業
フォトレジスト 8/7 サムスン電子(信越化学) 8/21着
8/19 サムスン電子(JSR)
 ?
フッ化水素 気体 8/29 サムスン電子
9/末 SKハイニックス
サムスン電子
液体  無し

このほか、8月5日付でサムスン電子の中国陝西省西安の工場向けに気体フッ化水素の承認が出ているが、今回の韓国向け輸出規制とは無関係

フッ化水素については、気体フッ化水素は3件の承認が出たが、液体フッ化水素は「書類補完」などの理由を挙げて承認しないでいる。

韓国の業界では、液体フッ化水素がウェハーエッチングや不純物除去など広範囲に使われるため 、日本が「意図的に」輸出承認を先送りしているとみている。

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韓国紙によると、SKハイニックスはこのたび、日本の輸出規制品目の一つである液体フッ化水素(エッチング液)の国産化に成功した。今月初めから国内企業の製品を一部半導体生産ラインに投じている。

SKハイニックス関係者は、液体フッ化水素を Ram Technology から供給を受け、「10月1日から一部の生産ラインに日本産液体フッ化水素の代わりに国産製品を投じている」と明らかにした。

Ram Technologyは2001年10月に設立された半導体工程用科学素材専門企業 で、中国産原料を輸入して再加工したフッ化水素製品と自社生産分などをSKハイニックスに納品している。
同社の液体フッ化水素供給可能物量は年間7000トン水準で、SKハイニックス全体需要量の半分程度とされる。

SKハイニックスとRam Technologyは昨年末から液体フッ化水素の生産を共同で準備し、先月最終品質試験を終えたという。

サムスン電子も先月から一部の生産ラインで国産液体フッ化水素を使っている。同社関係者は「相対的に『それほど敏感でない』生産ラインで日本製品の代わりに国内で生産した液体フッ化水素を使っている」と話した。

業界関係者は「日本政府の液体フッ化水素輸出許可が遅れていることでサムスン電子とSKハイニックスが国産製品の品質テスト速度をさらに上げた」と評価した。

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付記 

韓国は9月11日、日本の半導体材料に対する輸出管理の厳格化がWTO協定に違反するとしてに日本を提訴した。

WTOは貿易紛争の処理を二審制にしており、まず2国間で解決方法をさぐる協議が起点となる。

経済産業省は10月10日、WTOの紛争解決手続きに基づく2国間協議を10月11日にジュネーブで行うと発表した。

提訴翌日の9月12日から60日以内に協議で進展がなければ、韓国は第一審にあたるパネルでの審理を要請できる。日韓の主張は対立しており、協議の期限内では解決せずに第一審にあたる紛争処理小委員会(パネル)での審理に移る公算が大きい。

付記

10月11日の協議は平行線をたどった。韓国は次回協議を要請し、日本は受け入れた。

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