Tesla、中国工場の試運転開始

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Teslaは10月23日、上海市で建設中だったEVの新工場で主力小型車である「モデル3」の試作車の生産を始めたと発表した。2019年末としていた予定よりも前倒しで実現した。

同社は2018年7月に中国政府との間で上海での工場建設の契約を結んだ。これまでは外国企業は中国メーカーと合弁を組むことが義務付けられ、合弁先への出資比率も50%以下に制限されていたが、Teslaには初めて100%出資を認めた

中国政府は2018年4月17日、自動車分野における外国企業の出資制限を2022年までに順次、撤廃すると発表した。

2018年内に電気自動車(EV)など新エネルギー車の生産会社で出資制限を撤廃し、2020年に商用車、2022年に乗用車に拡大する。
外国メーカー1社が設立できる合弁企業数を原則2社に制限している規制も撤廃される見通し。

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Tesla は本年1月に起工式を行っており、10カ月で試運転という「前例のないスピードの建設」(CEO Elon Musk )である。

2019/6 時点

現状

Stamping Press
Body Shop
Paint Shop

モデル 3


米国の複数メディアは10月17日、中国工業情報化部が公布したリストによると、Teslaが自動車生産企業のリストに掲載され中国で自動車生産資格を得たと報じていた。

今回、車体部品のプレス加工から塗装、組み立てに至る全工程で試作を始めた。

試作の後、本格生産、出荷を開始する。

生産能力は年15万台。同社の唯一の完成車生産拠点だった米カリフォルニア州Fremont工場の年産能力は44万台(Model 3:35万台、Model S/X :9万台)で、上海新工場を合わせた年産能力は59万台となる。

なお、Teslaは中国生産分の「モデル3」については、韓国のLG Chemが南京市で製造する次世代電池セル「NCM811」を使用する。

Teslaは現在、フリーモント工場で多目的スポーツ車(SUV)タイプの新型EV「モデルY」の生産準備を進めており、当初の予定よりも早く、2020年夏までに発売する見通しだと明らかにした。

同社は更に、欧州での第三工場の立地の選択の最終段階にあることを明らかにした。欧州工場ではModel 3 と Model Yを生産する。

付記

Teslaは11月12日、ドイツの首都ベルリンに建設すると明らかにした。ベルリンの南東で建設中の新空港の近くになるとしている。早ければ2021年の生産開始を目指す。
ベルリンに開発や設計の拠点も開設する。

モデルYは、ロードスター、モデルS (ラージサイズセダン)、モデルX、モデル3 (プレミアムミッドサイズセダン) に続くテスラのEVで、モデル3の車台をベースにしたコンパクトな電動SUVになる。

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Teslaは現在、中国市場にカリフォルニアのFremont工場から出荷しており、米中貿易摩擦の影響を受ける。

中国の自動車関税:

全体 対米国
当初 25% 25%
2018年5月 引き下げ 15%


15%
2018年7月 対米追加関税 25% 40%
2019年1月~3月 対米追加関税免除 15%
2019年4月1日より追加関税を一時停止 15%
2019年12月15日以降 復活+追加 10% 50%

2019/8/26 中国、米国製品750億ドル分に追加関税

上海工場の稼働で関税負担が無くなる。

Teslaでは、中国はModel 3の最大の市場となるとしている。

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Teslaが同日発表した2019年7~9月期決算は、売上高が前年同期比8%減の63億300万ドル、最終利益が54%減の1億4300万ドルで、主力のモデル3の輸出がほぼ計画に沿って拡大し、3四半期ぶりに黒字に転換した。

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