主要企業の2019年9月中間決算 - 住友化学

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石油化学(石油化学製品、メタアクリルの交易条件悪化)と健康・農業(メチオニンの交易条件悪化、農薬出荷減 )で大幅減益、下期配当未定に。

期初に1ドル110円と見込んでいた為替レートを、下期予想では105円に見直し、為替差損を見込んだ。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 うちコア うち
持分法
税引前
損益
法人
所得税
税引後
損益

うち

配当

少数株主 株主帰属 中間 期末
17/3 19,390 1,265 1,845 422 1,223 132 1,091 326 765 7.0 7.0
18/3 21,905 2,509 2,627 553 2,408 627 1,782 444 1,338 10.0 12.0
19/3 23,186 1,830 2,043 372 1,884 359 1,525 345 1,180 11.0 11.0
20/3予 23,300 1,700 1,600 500 11.0 未定
増減 114 -130 -443 -680
18/9中 11,221 919 1,021 239 1,023 208 815 200 615
19/9中 11,076 1,025 845 122 966 466 501 204 297
増減 -146 106 -176 -117 -57 258 -314 4 -318

税金の増加は、大日本住友製薬の影響(下記参照)

営業損益

17/3 18/3 19/3 20/3予 増減 18/9 19/9 増減
石油化学 589 946 616 240 -376 354 174 -180
エネルギー・機能材料 60 192 230 230 0 128 125 -3
情報電子化学 87 123 262 270 8 148 153 5
健康・農業関連 474 440 197 110 -87 25 -82 -107
医薬品 699 948 808 810 2 393 469 76
その他 101 111 94 100 6 32 52 20
全社 -165 -132 -164 -160 4 -59 -46 13
コア営業損益合計 1,845 2,627 2,043 1,600 -443 1,021 845 -176
非コア -580 -118 -213 100 313 -102 180 282
営業損益合計 1,265 2,509 1,830 1,700 -130 919 1,025 106


石油化学は石油化学製品、メタアクリルの交易条件悪化 (三菱ケミカルと同様)

付記 MMAの足元の国際価格(アジア地域)は1トンあたり1600ドル弱で、18年夏から4割も下落した。(2019/11/30 日経)

健康・農業関連はメチオニンの交易条件悪化、農薬出荷減

住友化学は2018年10月4日、愛媛工場において、飼料添加物メチオニン製造設備1系列の建設工事を完了した。増強規模は年産約10 万トンで、増設後の能力は既存設備15万トンとあわせ年産約25 万トンになる。

住友化学は2019年10月1日、生産効率の低い旧式のプラントについては本年9月末をもって停止し、コスト優位性のある他のプラントも必要に応じた生産体制の見直しにより、競争力を強化すると発表した。

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大日本住友製薬の業績は次の通り。  (住友化学出資比率 50.22%)

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 うちコア 税引前
損益
法人
所得税
税引後
損益
配当(円)
中間 期末
17/3 4,084 403 644 428 115 313 9.0 11.0
18/3 4,668 882 906 849 314 534 9.0 19.0
19/3 4,593 579 773 650   486 9.0 19.0
20/3 4,750 880 770 360 14.0 14.0
増減 157 301 -3 -126 5 -5
18/9中 2,262 296 372 376 97 279
19/9中 2,306 668 448 641 338 303
増減 44 372 76 265 241 25

19/9 中間決算では、コア営業利益の増は76億円だが、非コアが296億円の増益となっており、税引前損益の265億円増益につながっている。
逆に税金が241億円増え、最終損益ではほぼ前期並みである。


事情は下記の通り。

同社は7月2日、米国子会社であるBoston Biomedical, Inc.が創製し、抗がん剤として開発中の経口剤ナパブカシンの膵がんを対象としたフェーズ3 試験の中止を発表した。

この関係で、減損損失を197億円計上したが、Boston Biomedicalの買収に係る条件付き対価公正価値(費用)が大きく減少することとなり、費用を418億円戻入した。

(所定の業績が達成できない場合には売主から対価を返還してもらう、または支払うべき対価を減額する契約)

この二つの費用の前期比増減が296億円の営業利益増となった。

税務上では、この影響で米国で繰延税金と取り崩しを行うこととなり、税金が増加した。

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