主力の液晶材料は、中国での大型液晶パネル製造ラインの立ち上がりに伴い、主力の液晶テレビ市場において供給過剰の傾向が顕著となり、液晶パネルメーカーが生産調整を行った影響を受け、販売は低調に推移した。
チッソの液晶材料は2019年3月期に赤字に転落、その後赤字が続いている。
液晶ディスプレイは有機ELディプレイに切り替わりつつあり、今後回復する見込みはすくない。
これを受け、チッソは今期、液晶生産設備等の固定資産にかかる減損損失 とフラットパネル関連の事業整理損を 特別損失に計上した。
子会社 JNCは下記の3,471百万円の特別損失を計上した。
連結子会社JNC石油化学及びJNCマテリアルが保有する液晶生産設備等の固定資産にかかる減損損失 2,362百万円
電子部品事業(サン・エレクトロニクスの水俣の金バンプ加工事業:フラットパネルディスプレイ関連)からの撤退に伴う事業整理損 1,043百万円チッソは下記を加え、4,924百万円の特別損失を計上した。
水俣病補償関係損失(2019年4月1日から9月30日までの水俣病被害者への救済一時金8百万円を含む)1,452百万円
単位:億円 (配当:円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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経常損益の内訳は下記の通り。
17/3 18/3 19/3 20/3 18/9 19/9 増減 機能材料(液晶材料等) 83 26 -28 -7 -14 -8 加工品(繊維製品、肥料、電子部品等) 15 18 5 -1 3 3 化学品(アルコール、樹脂等) -1 21 32 14 -1 -15 商業事業 3 3 3 2 1 -0 電力 0 1 1 5 11 5 その他 2 2 -3 1 1 -0 全社 -27 -23 -24 -12 -10 2 合計 75 48 -14 -6 2 -10 -13
100%子会社 JNCの損益は2015年3月期をピークに急降下し、2019年3月期に赤字に転落した。
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 特別損益 | 株主損益 | |
15/3 | 1,834 | 153 | 183 | 134 | |
16/3 | 1,718 | 133 | 144 | 98 | |
17/3 | 1,540 | 65 | 81 | -64 | 26 |
18/3 | 1,600 | 33 | 54 | -40 | 5 |
19/3 | 1,550 | -34 | -7 | -38 | -44 |
18/9 | 732 | -12 | 6 | -17 | -5 |
19/9 | 734 | -2 | -7 | -35 | -52 |
増減 | 2 | 10 | -13 | -18 | -46 |
将来、チッソがJNCを売却して、譲渡益で水俣病の補償を終える計画であるが、JNCの赤字が続くと、その構想も実現が難しくなる。
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