インド後発薬大手のLupin Limited は11月11日、傘下の共和薬品工業を投資ファンドのユニゾン・キャピタル4号投資事業有限責任組合及びUnison Capital Partners IV (F), L.P .(「ユニゾン」)に売却する 契約を締結したと発表した。
Lupinの子会社Nanomi B.V. が保有する共和薬品の株式約99.82%を573億61百万円で売却するもので、2020年3月末までに譲渡する。
Lupinが米国とインドに投資を集中する選択をしたことが理由とされる。Lupinは、相次ぐ薬価改定で市場の成長が期待できない日本市場に見切りをつけたともみられる。
Lupin Limited は2015年に米のGAVIS Pharmaceuticals LLC とその姉妹会社Novel Laboratories を買収する契約を締結した。
GAVISのNew Jerseyの工場はLupinにとって最初の米国の生産基地となる。
なお、共和薬品が現在扱う製品の一部はLupinの工場で製造しているが、ユニゾンへの株式譲渡後も、共和薬品とLupinの間の製品開発および製造の提携関係は継続させ、製品の安定供給に支障がないようにする。
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Lupinは1968年設立の世界第7位のジェネリック医薬品メーカーで、アメリカ、EU、オーストラリアなど世界約100ヶ国以上の国で販売している。特に、抗結核薬およびセファロスポリン等で世界市場をリードし、CVS(心血管系)、CNS(中枢神経系)等の領域において存在感を強めている。
世界市場を対象とした原薬から医薬品まで自社一貫製造を行う製造施設(FDA認定工場)を複数有し、コスト競争力においても定評がある。日本の品質管理基準に合致した原薬・医薬品の供給が可能。
共和薬品工業は2007年10月、Lupin と資本提携することとし、Lupinが共和薬品の発行済み株式の大半(99.82%)を100億円弱を投じて取得した。
共和は2005年8月より、Lupinとジェネリック医薬品に関する協力契約を締結し、共同開発を推進してきたが、より密接な関係を構築することとした。
共和の製品開発、製造販売に対して、Lupinの研究開発力及び国際マーケティング力が戦略的に加わり、相乗的に大きな価値を生み出すとした。
インド系企業による日本のジェネリックメーカーの買収は、2007年4月のZydus Cadila による日本ユニバーサル薬品の買収に続き2社目だった。
日本ユニバーサル薬品は2010年6月に「ザイダスファーマ」に社名変更した。
Zydusは2014年にインド本社の経営方針の変更により日本市場から撤退した。
共和薬品は、ジェネリックメーカーとして、特に中枢神経系(CNS)の領域においてトッププレイヤーの地位を確立してきた。
「長期収載品」と呼ぶ特許切れ薬にも注力しており、2016年12月には塩野義製薬の特許切れ医薬品を獲得した。
対象となる医薬品は21製品で対価は154億円。
塩野義は特許切れ医薬品を切り離すことで経営資源を新薬開発に集中する方針を固めており、今回の売却はその一環となる。
2017年にはアステラス製薬のうつ病の新薬「ビプレッソ徐放錠50mg、150mg」の販売を開始し、ジェネリックメーカーから中枢神経系(CNS)領域に焦点を当てたスペシャリティ・ファーマを目指し、トランスフォーメーション(変革)を推し進めている。
2019年3月期の売上高は282億円。
今回の株式譲渡を通じて、共和薬品は、ユニゾンおよびユニゾンの持つヘルスケア分野のネットワーク(研究機関・専門家・企業などの戦略的パートナー)と連携し、医薬品にとどまらず、医療機器や人工知能(AI)を用いたソリューションを手掛ける「中枢神経系(CNS領域)の総合ヘルスケアカンパニー」を目指すとしている。
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