キオクシア(旧称 東芝メモリ)の中間決算

| コメント(0)

2017年4月1日に東芝からメモリ事業を会社分割し(旧)東芝メモリが発足した。

2018年6月1日にBain Capitalを軸とする企業コンソーシアムにより組成される㈱Pangeaが買収 、東芝メモリ㈱となった。
議決権は、東芝 40.2%、HOYA 9.9%、Bain Capital 49.9%である。

2017/9/30 東芝メモリの株式譲渡契約締結

2019年10月1日付で社名を「キオクシア㈱」 (Kioxia Corporation)に変更した。

2019/7/19 東芝メモリ、「キオクシア㈱」に改称 


同社の決算推移は次の通り。(億円)

(旧)東芝メモリ

東芝メモリ

2018/3月期 2019/3月期 2019/1~3 2019/4~6 2019/7~9 2019/上期
'18/4~5 '18/6~19/3

合計

売上高 12,294 1,894 10,745 12,639 2,470 2,142 2,390 4,532
営業利益 4,568 704 459 1,163 -284 -989 -658 -1,647
 (うち一般) (4,568) (704) (2,731) (3,435) ( 23) (-360) (-375) (-735)
 (PPA影響) (-2,272) (-2,272) (-261) (-285) (-282) (-567)

(停電影響)

(-344) (-1) (-345)
当期純利益 7,186 489 116 605 -193 -952 -560 (-1,512)

 2018/3月期の当期純利益には、法人税調整額▲3,346億円(益)を含む。

2018年6月に新しい東芝メモリがスタートしたが、これは㈱Pangeaが東芝から旧東芝メモリを買収したもので、買収に伴う特殊処理がある。

旧東芝メモリを時価(交渉価格)で買収するため、簿価との差が出る。このため、買収価額を、被買収側企業の資産及び負債の時価を基礎として、適切な勘定科目に配分する。これをPPA(Purchase Price Allocation) と呼ぶ。

東芝メモリは以下の処理を行った。

棚卸資産を1,388億円、固定資産を4,295億円 増加した。

棚卸資産については2019年3月期に全額コスト化した。
固定資産については2019年3月期に884億円を償却、残りは総額の95%まで、2022年3月期までに各年1,000億円程度償却する。

2019年3月期には 2,272億円の損失追加となった。
2019年4-6月は285億円、7-9月は282億円で、2019年上期合計では567億円の損失追加となった。

2019年6月15日、四日市工場で停電が発生し、一部の生産ラインが停止した。復旧に7月中旬までかかり、これに伴い、345億円の赤字を計上した。

また、 営業外損失として、借入金期限前返済、優先株期限前償還等で2019年4-6月に194億円の損失を計上した。

上記の特殊要因を除いた一般ベースの営業損益をみると、2018年3月期が4,568億円の黒字、2019年3月期が3,435億円の黒字であったのに対し、2019年上期は735億円の赤字となった。

主力製品であるNAND(ナンド)型フラッシュメモリーの価格下落が続いているためである。

足元での値下がりは緩和している。(2019/1Q 10%台半ばの下落→2Q 1桁台半ばの下落)

しかし、赤字解消はかなり困難である。

同社では2020年3月期の予想を発表していない。

東芝メモリは設備投資に充てる成長資金を確保するため、2019年11月以降に新規株式公開(IPO)を検討していた。しかし、急激な業績悪化で、上場は難しくなった。

なお、北上工場第1製造棟岩手県北上市10月に竣工生産ラインの立上げを行っており生産開始2020年を予定している。

コメントする

月別 アーカイブ