日本、液体フッ化水素の韓国向け輸出を承認

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韓国の半導体業界によると、日本の経済産業省は11月15日、ステラケミファが提出した高純度液体フッ化水素の韓国への輸出申請を許可した。

半導体生産に欠かせない液体のフッ化水素の輸出許可は初めてとなる。これまで、気体のエッチングガスについては輸出許可を出したが、最先端半導体の生産に使う高純度の液体は輸出を認めてこなかった。

サムスン電子、SKハイニックスが7月に発注した分で、日本政府は書類不備を理由に受理を先送りし、8月中旬に申請を受理 した。輸出審査期間である90日が満了するのを控え、今回許可したと見られている。

韓国政府は日本政府による輸出管理の厳格化に強く反発し、日本と韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄する方針で、失効期限の11月23日午前0 時までに日本が措置を撤回しない限り、GSOMIAを延長しないと主張していた。


韓国では今回の許可について、「国際世論戦が展開される中で口実を与えないように日本が名分を積み上げようとしたものだ」との分析が聞かれる。

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韓国政府は11月22日、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、「いつでも失効が可能という前提で終了通告の効力を停止する」と表明し、協定を事実上延長する方針を発表した。
また、韓国が日本の輸出管理強化措置を世界貿易機関(WTO)に提訴したことに関し、日韓の対話が続く間は提訴手続きを中断すると明らかにした。

安倍首相は韓国政府の発表を受け、「北朝鮮への日韓、日米韓の連携、協力は極めて重要だ。韓国もそうした戦略的観点から判断をしたのだろう」と記者団に述べた。
経済産業省は、日韓両国間の問題解決に向け、準備会合を経て局長級対話を行う方針を示した。

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日本政府は7月1日、韓国への半導体材料の輸出規制を厳しくすると発表した。有機ELに使うフッ化ポリイミドなど3品目について、個別に審査・許可する方式に切り替える。安全保障上の友好国である「ホワイト国」の指定も削除する。

2019/7/3  政府、半導体材料の対韓輸出規制を発表 

韓国産業通商資源部の通商交渉本部長(次官級)は10月2日、国会による国政監査で、日本政府が7月上旬に半導体・ディスプレー材料であるフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジスト(感光材、フォトレジスト)の3品目の対韓輸出規制を強化して以降、これまでに7件の韓国向け輸出を許可したことを明らかにした。

報道では下記の通りで、フォトレジストの3件目は不明。

  承認 購入企業(供給元)
フッ化ポリイミド 9/30 韓国の中小企業
フォトレジスト 8/7 サムスン電子(信越化学)
8/19 サムスン電子(JSR)
 ?
フッ化水素 気体 8/29 サムスン電子
9/末 SKハイニックス
サムスン電子
液体  無し

このほか、8月5日付でサムスン電子の中国陝西省西安の工場向けに気体フッ化水素の承認が出ているが、今回の韓国向け輸出規制とは無関係

韓国の業界では、液体フッ化水素がウェハーエッチングや不純物除去など広範囲に使われるため 、日本が「意図的に」輸出承認を先送りしているとみていた。

2019/10/8 韓国向け半導体材料 輸出規制の状況

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