韓国の月城原発1号機、ようやく永久停止決定

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韓国の月城原発1号機のが永久停止がようやく正式に決定した。原子力安全委員会は12月24日、韓国水力原子力が2019年2月28日に申請した月城原発1号機の永久停止運営変更案を賛成5、反対2で承認した。

月城原発1号機は古里原発1号機に続き、国内で2番目の永久停止原発となる。

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月城原発1号機(67.9万kW)CANDU方式で1983年4月22日に稼働したが、2012年に第1次運営許可期間が終了した。
韓国水力原子力は7,000億ウォン
(約660億円を投入して設備を交換するなど安全性を強化した後、原子力安全委員会の承認を受け2022年までの延長稼働に入った。

これに対し、近隣の住民ら2100人余りが運転延長は無効だとして安全委を相手に行政訴訟を起こした。

一審のソウル行政裁判所は2017年2月7日、原告側の主張を認め延長を取り消す判決を言い渡した。延長審査の過程で原子力安全に関する法令が求める書類が不足していたことや、適切な決裁が行われなかったことなどを指摘、原子力安全委員のうち、委員の資格がないにもかかわらず審査に参加していた人物がいたことも問題視した。

韓国水力原子力は控訴した。

しかし、再稼働の方針は政権と共に変わった。

文在寅大統領は選挙運動中に「新規の原発建設を全面中断し、建設計画を白紙化する」と公言し、老朽のものを閉鎖、建設中のものは見直し、今後40年で原発に頼らないエネルギー政策に切り替えると述べた。

大統領選挙前の2017年4月14日、脱原発市民団体6団体と反原発についての政策協定を結んだが、月城1号については、「判決を尊重し、寿命延長裁判の控訴を取り下げ、1号機を即座に閉鎖する」とした。

大統領は2017年6月に「月城1号機を可及的早く閉鎖する」と述べた。

2017/6/1 韓国、建設予定の原発の設計を中断、新大統領の脱原発方針の一環

続いて韓国水力原子力の理事会は早期閉鎖を決定した。安全性ではなく経済性に問題があるという理由 であった

しかし、これが問題となった。7,000億ウオンを投入したのに、稼働率を50%台に下げて「経済性がない」と結論付けた。取締役会開催を前日に通知し、経済性を分析した具体的な計算資料も提示しなかった。「かっぱらい理事会」という批判が出 た。

その後、韓国原子力安全技術院は月城原発1号機の検査を進め、安全性に問題がないとの審査結果を原子力安全委に提出した。

韓国水力原子力は閉鎖を押し通し、2019年2月には安全委員会に永久停止の申請(運営変更許可申請)を提出した。

国会でも問題と判断し、「韓国水力原子力月城1号機早期閉鎖の決定の妥当性および理事らの背任行為」に関する監査院の監査要求案を本会議で議決した。監査院は間もなく監査を開始する。

しかし、原子力安全委員会は今回、評決を行い、常任委員2人が永久停止に反対したが、常任委員2人と非常任委員3人が賛成を表明した。
賛成した委員は「すでに3回目の審議なのに到底折り合いがつかない問題で本当に嫌だが、表決をするのがそれなりに賢明だ。月城1号機の寿命が現時点で3年も残っていないため、今回停止して消耗的な論争を減らすべき」と 述べた。

委員長は「これまで問題になっている韓国水力原子力の背任などは、安全性の審査段階での規制システムとは異なる部分 で、原発の再稼働の可否や追加の投入費用7000億ウォンなどは、われわれが責任を負う領域ではない」と述べた。



科学技術界の重鎮13人は12月19日、文大統領に対し、脱原発エネルギー政策の全面撤回を促すとともに、次世代原発モデルAPR-1400を引き続き輸出するために 、現在保留している新ハンウル(蔚珍)原発3、4号機の建設を再開するよう提言した。

 

 

運転開始 原子炉形式 容量
 kW
大統領の政策協定
ハンウル
(
蔚珍)

1

1988/9/10 加圧軽水炉 (PWR) 95万  
2 1989/9/30 加圧軽水炉 (PWR) 95万  
3 1998/8/11 加圧軽水炉 (PWR) 100万  
4 1999/12/31 加圧軽水炉 (PWR) 100万  
5 2004/7/29 加圧軽水炉 (PWR) 100万
6 2005/4/22 加圧軽水炉 (PWR) 100万  
新ハンウル 1 (2018/4) KSNP (APR-1400) 140万

建設を暫定的に中止し、社会的合意を通じて運転の是非を決定

2 (2019/2) KSNP (APR-1400) 140万
3   KSNP (APR-1400) 140万 許可を取り消す。
4   KSNP (APR-1400) 140万
ハンピッ

(霊光)

1

1986/8/25 加圧軽水炉(PWR) 95万  
2 1987/6/10 加圧軽水炉(PWR) 95万  
3 1995/12 加圧軽水炉(SYSTEM80) 100万  
4 1996/3 加圧軽水炉(SYSTEM80) 100万  
5 2002/5/21 KSNP(OPR-1000) 100万  
6 2002/12/24 KSNP(OPR-1000) 100万  
月城 1 1983/4/22 CANDU 67.9万 運転延長取り消し判決の控訴を取り下げ、今回閉鎖決定
2 1997/7/1 CANDU 70万  
3 1998/7/1 CANDU 70万  
4 1999/10/1 CANDU 70万  
新月城 1 2012/7/31 KSNP(OPR-1000) 100万  
2 2015/7 KSNP(OPR-1000) 100万  
3   KSNP(OPR-1000) 100万 (未認可)
4   KSNP(OPR-1000) 100万
古里 1 1978/4 加圧水型(PWR) 58.7万 (2017年6月停止が決定している。)
2 1983/7 加圧水型(PWR) 65万  
3 1985/9 加圧水型(PWR) 95  
4 1986/4 加圧水型(PWR) 95万  
新古里 1 2011/2 加圧水型(PWR) 100万  
2 2012/7 加圧水型(PWR) 100万  
3 2017/1 加圧水型(PWR) 140万  
4 間もなく 加圧水型(PWR) 140万

建設を暫定的に中止し、社会的合意を通じて運転の是非を決定

5   加圧水型(PWR) 140万 許可を取り消す。
6   加圧水型(PWR) 140万
三陟 4基       白紙に戻す。
盈徳 4基      

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