サハリン1のLNG計画

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12月20日付の日本経済新聞は、サハリン1のLNG計画について、日本の官民が米エクソンモービルなどと共同で事業を推進する方針を固めたと報じた。

エクソンとロシア国営石油会社ロスネフチのほか、経産省と伊藤忠、石油資源開発、丸紅などが出資する「サハリン石油ガス開発」 などの企業連合が事業を推進する方針という。

デカストリ港で年産620万トンの生産能力を持つLNGプラントの建設を目指している。2027年にも生産を始め、事業費は1兆円規模になる見通し。ロシアは天然ガスの供給先を欧州からアジアにも広げたい意向で、日本もロシアとの関係を強化し調達を多様化する。

サハリン1プロジェクトの概要は下記のとおり。

事業主体 Exxon Neftegas 30%
 (米、エクソン・モービル子会社、オペレーター)
・サハリン石油ガス開発(株)(通称:SODECO)30%
ONGC Videsh(インド、20%)
Sakhalinmorneftegas-Shelf(ロシア、11.5%)
Rosneft
-Astra (ロシア 8.5%)
投 資 額 約120億ドル以上
開発鉱区 オドプト、チャイヴォ、アルクトン・ダギ
推定可採
埋 蔵 量
①石油   約23億バレル
②天然ガス 約4,850億立方メートル

サハリン石油ガス開発には、経済産業大臣 50.00%、伊藤忠グループ 16.29%石油資源開発 15.3%、丸紅 11.68%、国際石油開発帝石 5.74% が出資(端数異動あり)

チャイウォ油ガス田からは、2005年10月より、海上のプラットフォームや陸上の坑井基地・処理施設などの生産施設を用いて原油・天然ガスが生産されている。2015年4月には大偏距掘削で13,500mという世界最長記録を達成した。オドプト油ガス田では2010年9月から、アルクトン・ダギ油ガス田では2015年1月より各々原油生産を開始している。

原油とガスの輸送については下記の通り。

 <石油>サハリン島を東西に横断し大陸側に至るパイプラインで運搬、そこからタンカーで日本等へ輸出
 

 <ガス>

当初案は、北海道の内陸の一部(石狩平野)を経由する海底パイプラインにより運搬する予定であったが、 パイプライン敷設の漁業補償問題や、最大需要家になるとみられた東京電力も購入に難色を示したため、この計画は白紙となった。

その後ガスプロムと英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが主導する「サハリン2」(南端のプリゴロドノエまでパイプラインで運搬し、液化)にガスを販売する計画だったが、価格交渉が決裂し、自前でLNGを輸出する方針に転換した。

ガスの液化については、当初はロスネフチとエクソン両社で建設する方針だった。

両社は2013年にLNGプラントの建設計画をプーチン大統領に提示した。しかし、ウクライナ紛争を巡る対ロシア制裁など多数の要因が重なり、現在まで実現していない。

2018年10月報道では、両社にサハリン石油ガス開発とインドのONGCを加えた4社での建設に変更された。

LNGの生産自体は経済制裁の対象ではないが、ロシア企業は制裁により金融市場へのアクセスが制限されている。 サハリン石油ガス開発とONGC両社と組むことで、コストを分担できるほか、制裁に伴うリスクを和らげる狙いもあるとみられる。



サハリン計画については https://www.knak.jp/blog/2006-6-1.htm#sakhalin

サハリン1計画については 2018/7/25 ロシア国営石油大手 Rosneft、サハリン1の参加者を提訴

サハリン2計画については 2007/1/9 サハリン2計画 再スタートとその背景 

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