英下院選挙、保守党が圧勝、EU離脱へ

| コメント(0)

英国の下院総選挙が12月12日に実施され、即日開票となった。

前日時点では、与党・保守党が優位を保っているが、最大野党・労働党の差は徐々に縮まっており、なお予断を許さないとされていた。

しかし、結果は保守党の圧勝で、365議席を確保し、過半数の326議席を大きく上回った。

労働党は40議席を失い、203議席にとどまった。 (下院議長のSir Lindsay Hoyleを除くと202議席)
特に、離脱賛成が多いイングランドで47議席を失った。

スコットランドの独立・EU残留を主張するスコットランド国民党が議席を大きく増やした。

保守党の勝利には次の点が影響を与えた。

これまでの議会の議論への失望
Brexit 党が候補を出さなかったことで、共倒れが避けられた。
労働党がBrexitの賛否を明らかにしなかった。(党内にBrexit派と残留派がいて、対応に苦慮し、Brexitの是非を問う国民投票の再実施などを公約に掲げた。 )

2019/11/29 英国与野党の選挙マニフェスト

今回の結果と過去の実績:

解散

2017/6/8
選挙
2019/10 直前の異動 今回
解散前
今回
選挙
保守党 330 317 288 +10 298 365
民主統一党(NI) 8 10 10 10 8
(与党)

(327) (298) (308)
労働党 232 262 244 -1 243 203
スコットランド国民党(Scot) 56 35 35 35 47
自由民主党 8 12 19 +1 20 11
独立党 1 0 0 0 1
独立グループ 0 36 -10 -1 -1 24
Change UK 5 5 0
シンフェイン党(NI) 4 7 7 7 7
ブライドカムリ(Wales) 3 4 4 4 4
緑の党 1 1 1 1 1
社会民主労働党(NI) 3 0 0 0 2
北アイルランド同盟党(NI) 0 0 0 0 1
アルスター統一党(NI) 2 0 0 0 0
無所属 1 1 0 0 0
議長 1 1 1 -1 +1 1
空席 0 0 0 +2 2 0
合計 650 650 650 650 650 650

John Bercow下院議長が10月31日に議員を引退した。他に独立グループから1名引退、1名が自由民主党に移った。
後任の議長の選任は11月4日に行われ、労働党のSir Lindsay Hoyleが議長に選任された。
与党保守党は党籍停止者のうち、10名を党に復帰させた。

NI: 北アイルランド政党、Scot:スコットランド政党、Wales:ウェールズ政党

投票数では、保守党が43.6%、労働党が32.1%、自由民主党が11.5%、スコットランド国民党が3.9%・・・ となっているが、単純小選挙区制度で各選挙区での勝者が当選するため、議席数は大きく差が出る。

ーーー

保守党は勝利を受け、10月のEUとの合意に基づくEU離脱協定法案を年内にも議会に提出し、年明けに通過させ、2020年1月31日に離脱を実現する。

2019年3月29日から3度にわたって延期されてきたブレグジットがようやく実現する。

なお、協定に基づき、2020年12月末までが移行期間となり、その間の短期間にEUとのFTAを締結・発効させることが必要となる。
FTAを発効できないと、移行期間終了後に関税が発生することになる。

コメントする

月別 アーカイブ