パナソニック、半導体事業を譲渡

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パナソニックは11月28日付の取締役会決議で、100%出資のパナソニックセミコンダクターソリューションズを中心に運営している半導体事業を、台湾に本社を置く半導体企業であるWinbond Electronics 華邦電子股分有限公司傘下のNuvoton Technology (新唐科技股份有限公司) に譲渡することを決定した。

売却額は2億5千万ドルで、来年6月1日を予定している。

同社の半導体事業は、過去数年来、AV分野から車載・産業分野へのシフトとともに、イメージセンサなどの「空間認識」技術と、バッテリーマネジメント用ICやリチウムイオン電池保護回路用MOSFETなどの「電池応用」技術を注力分野と位置付け、これらの分野にリソースを集中することで事業成長を目指してきた。

一方で、国内外拠点の統廃合を行い、アセットライト化による事業リスクの低減を図り、競争力の強化に取り組んできた。

パナソニックの半導体事業の歴史:

松下電器産業は1952年にフィリップスとのJV(松下 65%) で松下電子工業を設立、1957年に高槻工場で半導体の生産を開始した。1968年には京都府の長岡工場でシリコントランジスタ / バイポーラICの量産を開始した。

1993年にフィリップスの持株(35%)を1850億円で買い取り、松下電器の100%子会社とし、2001年に吸収合併した。

2014年にセミコンダクター事業部の半導体等の開発・製造・販売に関する事業を、新しく設立したパナソニックセミコンダクターソリューションズに移管した。

2014年4月に北陸工場(魚津・砺波・新井)の半導体ウェハ製造工程を、イスラエルの半導体ファウンドリ企業 Tower Semiconductor Ltd. (米子会社はJazz Semiconductor)との合弁会社パナソニック・タワージャズ セミコンダクターに移管した。(パナソニック側 49%)

Tower Jazzは、3か国で7か所の製造拠点を持つ。イスラエルに2か所(150mmと200mm)、米国カリフォルニア州とテキサス州にそれぞれ1か所(200mm)に加えて、パナソニック・タワージャズ セミコンダクターの3カ所。

さらに同年6月にはシンガポール、インドネシアおよびマレーシアに保有していた半導体組立工場を、香港に本社を置くUTAC Manufacturing Servicesへ譲渡した。

2019年4月には、パナソニック セミコンダクターソリューションズの次の事業を半導体メーカーのロームに譲渡することを決定している。

・トランジスタ(バイポーラ、抵抗内蔵型、接合型電界効果)
・ダイオード(ショットキーバリア、TVS、ツェナー、スイッチング、ファストリカバリ)

しかしながら、近年の競合他社の勢力拡大、注力事業への巨額投資、M&Aを通じた業界再編の進行等、半導体事業を取り巻く競争環境は熾烈を極めており、今回、同社が蓄積してきた技術力、商品力を高く評価し、それらを最大限活用し、持続的な事業成長が期待できる Nuvotonの下での事業運営が最善と判断し、本件譲渡を決定した。

以下により譲渡する。

事前に、パナソニック出資管理合同会社のもつパナソニックデバイスシステムテクノ (半導体設計サービス、ソフトウェア開発サービス等)及びパナソニックデバイスエンジニアリング(技術業務請負)の全株式をパナソニックセミコンダクターソリューションズに移管

パナソニックが持つ半導体事業関連の知的財産権および契約の一部、半導体事業関連資産・負債の一部をパナソニックセミコンダクターソリューションズに移管

その上で、パンソニック出資管理合同会社のもつパナソニックセミコンダクターソリューションズ株式をNuvotonに譲渡する。
この結果、パナソニックタワージャズセミコンダクターの株式49%はNuvotonの傘下に入る。

但し、パナソニックセミコンダクターソリューションズの事業のうちのリードフレーム(半導体チップを支持固定し、回路基板の配線と接続する部品事業については、新たに設立するパナソニック出資管理合同会社の完全子会社に承継させる。

シンガポール法人パナソニックアジアパシフィックにおいて、半導体の開発・販売事業を担当する社内カンパニーであるパナソニックデバイスセミコンダクターアジアの事業を、Nuvotonのシンガポール法人に譲渡する。

パナソニックチャイナ子会社のパナソニックセミコンダクター蘇州の半導体事業に係る設備・在庫等をNuvotonの中国法人に譲渡する。


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パナソニックは11月22日、IRミーティング「Panasonic IR Day」を開催した。

空間演出や産業向け電子部品など競争力のある成長事業に経営資源を集中させる一方で、赤字事業からは撤退・縮小する方針を改めて強調した。


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ダウンでポートフォリオマネジメントを実行

 21年度までに構造的赤字事業を撲滅

 低収益事業について21年度までに方向性を決定

 競争力維持が困難な事業についても大胆な資本政策も含めて方向性を検討

本年に入り、液晶パネルの生産停止、太陽電池での中国メーカーとの協業を決めており、今回、半導体事業を売却した。

パナソニックは11月21日、液晶パネルの生産活動を終了すると発表した。
パナソニック出資管理合同会社の子会社であるパナソニック液晶ディスプレイが2021年を目処に生産を終了する。

パナソニックは2008年2月、姫路市に液晶パネル新工場を建設すると正式発表した。
投資額は約3千億円。2010年1月に稼働し、13年のフル稼働時の生産能力は32型換算で年1500万台を予定した。
プラズマに続き液晶でも部材から一貫生産する垂直統合モデルを構築する。
運営は
パナソニック液晶ディスプレイ(旧称 IPSアルファテクノロジー)が担当する。

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パナソニックは5月9日、中国太陽電池メーカーのGS-Solar(China) と太陽電池事業で協業することに合意したと発表した。
パナソニック エナジー マレーシアを譲渡するとともに、太陽電池の研究開発機能を分離して新会社を設立し、GSソーラーと共同で出資、運営する。

共同研究の新会社は大阪府貝塚市に建設予定で、設立時期は未定。高効率の太陽光電池の開発に向けた研究を行う。

パナソニックが国内と米国に抱える生産拠点は維持する。

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家電での地域・事業の絞り込みも行うとしている。
 2019年7月末にメキシコ拠点でのテレビ生産を終了した。




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