米下院情報特別委員会、弾劾調査報告書を発表

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米下院情報特別委員会は12月3日、トランプ大統領の「ウクライナ疑惑」に関する弾劾調査の報告書を公表した。

報告書は下院情報委が開いた公聴会や非公開証言をまとめた内容で、計300ページに及ぶ。下院を主導する民主が中心になって作成しており、 情報委員会でも党派に沿い、13対9 の賛成多数で承認した。

ただ、トランプ氏が弾劾に値するかどうかの判断には言及していない。

報告書の主な内容は下記の通り。

大統領は、自らの再選に有益とみてバイデン前副大統領に関する調査をウクライナに求めた。

ウクライナが調査を公表することをホワイトハウスでの首脳会談、軍事援助の条件にした。

こうした行為は「2020年大統領選で外国勢力の干渉を求めた」ことになる。

個人的利益を国益より上位に置き、大統領選のプロセスを損ね、米国の国家安全保障を危険にさらした。

疑惑解明に向けた調査にトランプ政権が非協力的だった。行政機関に、委員会での証言や資料提出に応じないよう指示し、証言者に脅しをかけた。

「トランプ氏は弾劾調査に対する前代未聞の妨害キャンペーンに関わった」。

「大統領の不正行為と、議会を妨害した証拠は計り知れないほどある」。

これに対し、ホワイトハウスの報道官は、下院民主党が「一方的な見せかけの手続き」を行ったものの、大統領による不正の証拠は出てこなかったと反論した。

情報委員会の報告発表を受け、12月4日からは下院司法委員会に舞台を移し、弾劾の法的根拠に関する審議に着手する。12月中の弾劾訴追をめざして詰めの作業を急ぐ。

下院司法委員会は12月4日、4人の憲法学者らを招き、公聴会を開いた。公聴会は生中継された。

民主党が推薦した3人はトランプ氏によるウクライナ政府への政敵調査の働きかけなどは「弾劾に値する」と表明したが、共和党推薦の証人は「拙速だ」として反対姿勢を示し、見解が割れた。

民主推薦のNoah Feldmanハーバード大教授:

18世紀に憲法が起草された時、草案者は「現職の大統領が職権を乱用して大統領選の結果を自身に有利になるよう歪める」と懸念していた。トランプ氏の行動はまさにこの懸念を体現する。「個人的な利益のために職権を乱用する大統領を弾劾できなければ、われわれは民主主義の国に住んでいるとは言えない。君主主義、もしくは独裁主義の下で暮らしていることになる」

民主推薦のPamela Karlanスタンフォード大学法科大学院教授:

トランプ大統領が外国に対し米選挙に介入するよう要請することで職権を乱用した。トランプ氏のウクライナに対する要求は憲法の下で贈収賄と解釈される。

民主推薦のMichael Gerhartノースカロライナ大学教授:

共和党は大統領による憲法に対する攻撃を看過した。
「議会が今回の件で弾劾に失敗すれば、弾劾手続きは全ての意味を失う。これに伴い、米国の地に国王が擁立されることを防ぐ憲法の安全装置が失われることになる。大統領であっても憲法および法律を超越することはできない」

共和推薦のJonathan Turleyジョージ・ワシントン大学教授:

トランプ氏の行動は贈収賄には当たらない。集められた証拠は民主党の主張を裏付けるものではない。「証拠が足りないからといって、怒りに駆られて弾劾の要件を下げることを懸念している」

ただ、ウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談について、政敵捜査の見返りとして米国の軍事支援を利用したことが「証明されれば、弾劾可能な事案となる可能性はある」

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司法委員会はトランプ大統領にも公聴会出席を呼び掛けており、11月29日に出欠の返事を要請した。

ホワイトハウスは12月1日、4日に開く公聴会について、トランプ氏も弁護士も出席しないとする書簡を、同委員会に送った。大統領が「公正に」公聴会に参加できるとは思えないとした。
2回目の公聴会への出席要請については、6日までに別途回答するとしている。

与党共和党の下院メンバーは12月2日、トランプ氏を全面擁護する調査報告書をまとめた。
トランプ政権のウクライナへの圧力は、ゼレンスキー大統領に腐敗対策を講じさせるためだったとし、「政敵捜査を求めるために権力を乱用した」という野党民主党の主張を否定した。

トランプ大統領は12月2日、ツイッターで "Breaking News"として、「ウクライナ大統領がトランプ大統領は何も悪いことをしていないと述べた」と伝えた。

"Breaking News: The President of Ukraine has just again announced that President Trump has done nothing wrong with respect to Ukraine and our interactions or calls. If the Radical Left Democrats were sane, which they are not, it would be case over!"

しかし、New York Timesは、「ウクライナ大統領はそんなことを言っておらず、逆にトランプ大統領の発言を批判している」と報じた。

Nowhere in the interview did Mr. Zelensky say that his American counterpart did "nothing wrong."

In fact, he criticized Mr. Trump's comments about corruption in Ukraine and his decision to suspend military aid to Kyiv.

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