米議会、予算案を可決

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トランプ大統領の弾劾で大騒ぎの米国議会は暫定予算の期限切れ直前の12月19日に予算案(2019/10~2020/9)を可決し、大統領に送った。トランプ大統領は署名するとみられ、政府機関の一部閉鎖は回避される。

付記 大統領は12月20日に署名し、予算は成立した。

予算を巡っては、7月22日に、今後2年間の連邦政府の歳出と債務の上限について与野党で合意した。2020会計年度(2019年10月~20年9月)と21会計年度の歳出上限を計3200億ドル引き上げるほか、債務上限については、2021年7月末まで2年間棚上げする。

2019/7/25 米 歳出上限と債務上限を引き上げ 

しかし、具体的な予算についてはトランプ大統領が選挙公約に掲げる「国境の壁」の建設費などで妥協点を見いだせておらず、進展がなく、9月27日に米連邦政府の支出を2019年のレベルで11月21日まで手当てするつなぎ予算が通った。

2019/9/30 米つなぎ予算が成立、11月21日まで協議継続  

トランプ大統領は11月21日、12月20日までの暫定予算案に署名、暫定予算成立により政府機関閉鎖は寸前で回避された。

2019/11/25 トランプ大統領、暫定予算案に署名 、政府閉鎖を回避

その期限が近づくなか、大統領弾劾の議論の最中、議会は数週間にわたり超党派協議を行ない、政権と暫定合意した。

法案の規模は1兆4000億ドルで、社会保障費など「義務的」経費は今回の法案には含まれない。歳出増は財政赤字の拡大を招き、2019会計年度の財政赤字は9840億ドルとなる。議会予算局(CBO)は、今後10年の財政赤字の年間平均を1兆2000億ドルと予想している。

国防総省の予算は、前年度から220億ドル増額の7,380億ドルとなった。トランプ大統領が目玉政策として掲げる宇宙軍創設に関する予算も盛り込まれた。

トランプ大統領はメキシコ国境の壁建設費として50億ドルを要求していたが、予算案に盛り込まれたのは前年度並みの13億7000万ドルにとどまった。但し、民主党が反対していた軍事予算の壁建設への転用が可能とすることで折り合った。

下記が盛り込まれた。

非軍人の給与を平均で3.1%引き上げ。

若者の喫煙対策として、たばこの最低購入年齢を現行の18歳から21歳に引き上げる措置。
米食品医薬品局(FDA)が半年以内に規制案を策定し、3年をかけて州当局と連携して新たなルールを導入する。

オバマケア(医療保険制度改革法)の財源を支える目的で創設されたものの、導入見送りとなった税などの廃止。

地方自治体が来年11月の大統領選および議会選挙の準備に充てる費用.。サイバー攻撃に対するインフラ強化などに充てる。

数十年間凍結されてきた銃犯罪に関する研究予算。

民主党は裁量的経費が現行水準より440億ドル増えることになったと成果を強調した。ペロシ下院議長は、「全ての民主党員は、米国民の健康や金融面の安定、福利にとって大きな勝利となったこの力強い歳出パッケージを大いに誇りに思ってよい」と話した。


下院は12月17日、各省庁の予算のうち、国防総省関連歳出法案と非国防省庁などの歳出法案に分けて投票し、それぞれ可決した。

第一の法案は、国防総省、国土安全保障省、商務省、司法省、財務省その他の歳出

共和党 民主党 無所属 合計
賛成 130 150 280
反対 62 75 1 138
棄権 5 7 12
合計 197 232 1 430

下院総数 435、現在 欠員 4、民主党1名欠席

第二の法案は、農務省、労働省、内務省、運輸省、国務省その他の歳出
共和党の反対が多い。

共和党 民主党 無所属 合計
賛成 79 218 297
反対 112 7 1 120
棄権 6 7 13
合計 197 232 1 430


2法案は上院に送られ、12月19日に可決された。

第一の法案

共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 46 34 1 81
反対 4 7 11
棄権 3 4 1 8
合計 53 45 2 100

第二の法案
こちらも共和党の反対が多い。

共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 31 39 1 71
反対 21 2 23
棄権 1 4 1 6
合計 53 45 2 100

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