ロシアとウクライナは12月19日、2020年1月以降もウクライナのパイプラインを経由してロシア産の天然ガスを欧州に供給することで基本合意した。
現在の輸送契約は2019年末に失効するが、新しい契約を結ぶ交渉が難航していた。
ロシアとウクライナは天然ガスを巡り、何度も争っており、ウクライナを経由するパイプラインでロシアから天然ガスを受けている欧州も巻き込まれてきた。
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ロシアの国営ガス会社ガスプロムはドイツに向かう「ノルドストリーム2」とトルコに至る「トルコストリーム」の2本の大型ガスパイプラインを2020年に稼働させる予定で ある。
Nord Stream -2 は全長約1200キロメートルで、バルト海を通ってロシアと独北部を結ぶ。輸送能力は年550億立方メートルで、ロシアの欧州へのガス輸出量の約4分の1に当たる。年内に完工するとの観測が出ている。
ウクライナを迂回したロシア産ガスの輸出ルートでは、黒海からトルコに輸出し、さらにブルガリアやハンガリーなどに輸出するTurkish Stream も建設されている。 2020年に運用開始の予定。
2019/11/9 Nord Stream -2、年内完工へ
ロシア側は「ノルドストリーム2」と「トルコストリーム」の開通で、ウクライナ東部で争っており、過去にガスパイプラインを巡って何度もトラブルを起こしていたウクライナ経由の輸送量を減らしたい思惑がある。
一方、経済の悪化に苦しむウクライナは多くの輸送量を確保した長期契約で、多額の通過料を得ることを目指した。 更に、過去の契約が不当だったとしてガスプロムを相手取り、複数の訴訟や罰金の請求を試みていた。
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今回の合意は、契約期間は5年で、ウクライナのパイプラインを経由する欧州への供給量を20年が650億立方メートル、2021年から400億立方メートルと段階的に減らす。
さらにロシアは国際裁判所の決定に従い、ウクライナに約30億ドルの賠償金を支払う。ロシア側が30億ドルの支払いに同意したことで 、他の訴訟問題などはひとまず取り下げた模様。
これにより、来年以降のロシアの欧州向けガス輸出は下記の通りとなる模様。
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なお、米国では12月20日、トランプ大統領の署名で「国防権限法」が成立した。
米国は、欧州のロシアへのエネルギー依存が深まることで「欧州の安全保障上の脅威」になると懸念しており、国防権限法で「ノルト・ストリーム2」への制裁を決めた。今後、明らかになるが、敷設事業に関係する企業が制裁対象になる見込み。
米国の決定を受け、敷設事業に参加するスイス拠点のAllseasは12月21日、作業の停止を発表した。
パイプラインの総延長約1200kmのうち、残りは約130kmとなっている。Allseas社の離脱で、事業を主導するガスプロムは関係企業に代行させる検討を始めた。
米国の制裁で、完成が来年後半にずれ込む可能性も取りざたされている。ラブロフ露外相は「対抗措置」も警告、ドイツのショルツ副首相兼財務相は「ドイツと欧州の主権への深刻な攻撃だ」と批判した。
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