Rosneftの北極圏油田開発

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ロシアのエネルギー大手Rosneftが、北極圏の油田開発で三菱商事など複数の日本企業に出資を打診することが分かった。

近く来日するロスネフチのイーゴリ・セチン最高経営責任者(CEO)が日本政府や企業に北極圏の資源開発計画「ボストーク・オイル」の概要を説明し、事業への出資と協力を要請する見通しだ。資源エネルギー庁や石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、丸紅、国際石油開発帝石などの幹部が説明を受ける。日本経済新聞が報じた。

Vostok Oil は、国営石油会社 Rosneft とRosneft の元社長のEduard Khudainatovが経営するロシアの私企業 Neftegazholding (NGH) のJVである。

下記の通り、Vostok OilにはRosneftとインドの投資家グループが組んで10年ほど操業している油田が含まれるが、RosneftはVostok Oilの株の15-20%をインドの投資家グループに渡す予定である。これに加え、日本企業からの出資を求める。中国なども参加を考えているとされる。


Rosneftは同じ地域に未開発の油田を持つNeftegazholdingとのVostok Oil 計画を立てた。

2019年4月1日、プーチン大統領はRosneftのIgor Sechin社長と面会し、特に北極海航路の輸送量増加や船舶建設について、2018年の成果や今後の計画について議論を行った。

この中で、Sechin社長は、北極海で同社が有するVankor油田群(Suzunskoye,、Tagulskoye、Lodochnoye)やTaymyr南部油田、Taymyr東部油田などの探査プロジェクトを統合することで、2030年までに1億トンの原油を生産したい、と述べた。また、同氏は資産を統合することで、外国の投資を呼び込むことができると説明し、すでに欧州や東南アジアの投資家が関心を示しているとした。

Sechin社長はまた、北極海の効果的な開発には政府の支援が必要だとし、特に外国からの投資を増やすための前提条件として、税金面や規制面で、生産の全期間に亘って安定性を保証する政策の必要性を説明した。

インドや中国などの投資家のコンソーシアムは、ロシア政府の支援がある場合のみ出資するとしてRosneft を支援した。

Vostok Oilは北極圏で次のような油田を持っている。

Paiyakhskoye 油田(未開発): Neftegazholdingの所有で、採掘可能埋蔵量は88億バレル。

Vankor 油田群:Rosneft の所有。Rosneftはインドの投資家グループと組み、10年ほど操業している。

Rosneft とBPが2016年に設立したJV(Rosneft 51%) の Yermak Neftegaz LLC (2023年操業開始予定)をVostokに含む件が交渉中である。

Rosneftは当初、次の支援策を要求した。

30年間の免税:
 新油田での資源採取税の免税、操業中のVankor油田での資産採取税の減税
 不動産取得税の免税
所得税の減税(20%を7%に)

これを受け、ロシア政府も支援策を決めた。(今後、議会で審議)

資源採取税(mineral extraction tax )については、年間生産量が埋蔵量の1%に達するまでの間(又は12年間)ゼロにし、次の5年は1%とし、その後順次引き上げる。
土地や資産に課す税金もゼロにする。インフラへの投資額の50%の減税。外国労働者の制限の免除など。


本件は 開発費が17兆円規模に達すると想定される大型案件で、2030年に日量200万バレルの生産を目指す。

実現すれば中東に原油を依存する日本にとって調達先の分散につながる。政治リスクや収益性などを見極めたうえで、実際の参画を検討する。

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なお、2019年6月29日に石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と三井物産は、Novatekが推進するアークティックLNG2プロジェクトへの10%出資を決めている。

2019/4/30 北海LNG計画に中国2社が参加 付記

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