DuPontは1月9日、韓国で先端半導体製造に必要なフォトレジスト(感光材)を生産すると発表した。
同製品は日本勢が世界シェア9割超を握り、日本政府が対韓輸出管理を厳格化した3品目の一つ。
韓国産業通商資源部によると、DuPontはEUV(超紫外線)露光フォトレジスト生産工場を建設するため大韓貿易投資振興公社に2800万ドルの投資申告書を提出した。
DuPontは韓国子会社を通じ、1998年から天安にある二つの工場で半導体回路基板用の材料や部品を生産してきたが、この工場を増設する。量産技術を確立し、2021年にも量産投資に踏み切る計画という。
韓国政府や自治体が土地の取得費用を負担し、税金免除などでも優遇する。
EUVフォトレジストは半導体超微細工程に使用される核心素材で、半導体基板(ウェハー)の上にパターンを形成する工程に使われる材料で、波長が短く微細化工程に適している。
JSR、信越化学工業、東京応化工業など日本企業が世界市場の90%以上を占めている。
韓国内でもフッ化クリプトン(KrF)、フッ化アルゴン(ArF)などのフォトレジストは一部生産が可能だ が、波長がそれぞれ248nm、198nmと長く、EUV用(13.5nm)より微細工程に適していない。
韓国政府は昨年7月の日本の輸出規制以降、半導体素材・部品・装備の供給を安定化させるためDuPontと接触してきたと明らかにした。
韓国産業通商資源部の長官が1月8日にDuPont社長と面会、DuPontはこの席で投資申告書を提出した。
長官はこの席で日本との関係に言及し、「日本の輸出規制措置を解決する上で一部進展があった」と評価する一方で、根本的な解決策とは見なしがたいとし、主要な材料や部品に関する技術競争力確保と供給元の多角化に引き続き取り組んでいくと強調した。
DuPontは韓国の素材・部品・装備自立の動きをチャンスと見なし、新しい市場に参入することになった。
同社は半導体ウェハーを平坦化するのに使用されるCMPパッドも生産する予定とされる。
韓国政府は米国の投資家を対象に韓国投資誘致活動を進めている。産業通商資源部の長官は1月9日、米シリコンバレーで米国の素材・部品・装備、新産業、ベンチャーキャピタル分野の革新企業10社を招請してラウンドテーブル会議を開き、韓国投資協力案について議論した。Lam Research 、Applied Ventures、Littelfuse、Air Products、Goreなどの企業が参加した。
長官は「政府は素材・部品・装備調達先多角化を継続して推進していく」と強調した。
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日本政府は2019年7月1日、韓国への半導体材料の輸出規制を厳しくすると発表した。
7月4日より、フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の韓国向け輸出及びこれらに関連する製造技術の移転について、包括輸出許可制度の対象から外し、個別に輸出許可申請を求め、輸出審査を行う。
安全保障上の友好国である「ホワイト国」の指定も削除する。
これについて本ブログは次の通り述べている。
この措置で韓国政府が動き、元徴用工訴訟の問題が解決に向かう可能性はほとんどない。
単に韓国との関係を更に悪化させるものとなる。
長期的には、韓国は重要原料については自製を図るだろう。その場合、日本企業は需要を失うこととなる。
2019/7/3 政府、半導体材料の対韓輸出規制を発表
韓国産業通商資源部の通商交渉本部長(次官級)は10月2日、国会による国政監査で、日本政府が7月上旬に半導体・ディスプレー材料であるフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジスト(感光材、フォトレジスト)の3品目の対韓輸出規制を強化して以降、これまでに7件の韓国向け輸出を許可したことを明らかにした。
報道では下記の通りで、フォトレジストの3件目は不明。
承認 購入企業(供給元) フッ化ポリイミド 9/30 韓国の中小企業 フォトレジスト 8/7 サムスン電子(信越化学) 8/21着 8/19 サムスン電子(JSR) ? ? フッ化水素 気体 8/29 サムスン電子 9/末 SKハイニックス サムスン電子 液体 無し
この時点では承認がなかった高純度液体フッ化水素について、森田化学工業が2019年12月24日付で承認を受け、1月8日に約6カ月ぶりに出荷した。2019/10/8 韓国向け半導体材料 輸出規制の状況
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