英下院、EU離脱法案を可決 1月末の離脱実現へ

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英議会下院は1月9日、英国がEUから離脱するための関連法案を賛成多数で可決した。近く上院でも承認され成立する見通しで、1月末の離脱実現がほぼ確実となった。


離脱関連法案は、英政府とEUが2019年10月にまとめた新たな協定案に基づく離脱を国内法に反映して実行するためのもので、下記の手続きをとった。

一読会(First Reading 本会議で法律案の題名朗読
読会(Second Reading 本会議で法律案の基本方針審議 12/20  359 対 234 で可決
議事進行動議Programme Motion その後の法律案審議の日程表決 12/20  353 対 243で可決
委員会段階(Committee Stage 逐条審査 1/6~7
第三読会(Third Reading 本会議での法律案最終審議 1/9  330 対 231で可決

委員会審議では野党の提案を与党が多数で押し切った。

11カ月の移行期間が短すぎるとの反対が多かったが、この案を総選挙で国民が認めたとして切り捨てた。

1月9日の採決結果は賛成330、反対231だった。

賛成票330の全てが与党保守党(365人)であった。
労働党(202人)のうち167、
スコットランド国民党(47人)のうち45、自由民主党 (11人)全員が反対。
これまでの閣外与党の北アイルランドの民主統一党(8人)は本土と北アイルランド間に税関を置くことに反対し、棄権した。

英国は1月31日午後11時にEUから抜けることとなる。

ただし、EUを離脱しても2020年末までの11カ月を「移行期間」とするため、通商や規制などの面ではEU加盟国と同じ環境が維持される。

この期間中にEUとの間にFTAを締結する必要があり、通商交渉を妥結できないまま移行期間終了を迎えれば、世界貿易機関(WTO)ルールに基づいてEUなどとの貿易に関税が出現し「合意なき離脱」と同じ状況に陥る。

英・EUの離脱案では移行期間を2022年末まで延長できることになっている (6月末に判断)。ただ移行期間中は、英はEU域外とFTAを発効させることはできず、EU予算への拠出金の負担を強いられる 。

しかしジョンソン首相は今回の関連法案に、EUとのFTAの締結が間に合わない場合で本年12月末までの移行期間を延長したり、EU法の英国への適用停止日を延期したりできなくする条項を付け加えた。

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ジョンソン首相は1月8日、新任のUrsula von der Leyen 欧州委員長とロンドンで会談した。

ジョンソン英首相は会談で、英国が離脱の移行期間を来年に延長しないことは「はっきりとしている」と明確に伝えた。

財・サービスを網羅する広範な自由貿易協定およびその他の分野での協力」を望むと述べ、「自国の漁業海域と移民制度のコントロールを英国は維持する」とも表明した。

漁業については 英国の漁業海域でのEU側の漁業権が問題となっており、EU側は英国が漁業を認めなければ英国の漁業品のEUへの輸入を認めないとしている。

英国はEUとの今後の関係やカナダ型の自由貿易協定について「1月31日を過ぎれば可及的速やかに」交渉を開始する用意がある と述べた。

カナダとEUとの自由貿易協定(CETA)は、物品のほとんど全ての関税は廃止されるが、英国にとって重要な食品や化学など一部の産業や、サービス部分は十分にカバーされていない。
そのため、英国はカナダプラス型として、カナダ型にさらに重要な産業における標準の相互承認や、サービス部分の強化などを求めている。

von der Leyen 欧州委員長は、EUと英国が将来的な関係を巡り年末までに全ての課題について交渉するのは「基本的に不可能」と し、優先順位をつける必要があるとの立場を示した。

単一市場や関税同盟の全体性を守るためにEUの優先事項について妥協はできないと強調した。また、協議の進展は年央、できれば「夏前」に点検が必要だとし、協議延長の必要性にも含みを持たせた。


FTA以外にも、解決すべき問題は非常に多く存在する。

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