ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は1月8日、イスタンブールで行われたTurkish Streamガスパイプライン開通式典に出席した。セルビアの大統領とブルガリアの首相も参加した。
Turkish Streamは2ライン(各157.5億立方メートル)で構成されるガスパイプラインで、1ラインはトルコへの ガス供給、もう1ラインは南・南東ヨーロッパへの供給を予定している。
ロシアは当初、黒海経由で天然ガスを欧州に送るSouth Streamパイプラインを計画した。
ロシアのGazpromとパートナーは2012年12月7日、南ロシアの黒海東岸の Anapa市でSouth Stream pipeline の着工式を行った。
South Streamはロシアと中央アジアの天然ガスを欧州に送るもので、黒海の湖底を通って対岸のブルガリアに渡り (900km)、その後、2手に分かれる。
北西ルートはブルガリア、セルビア、ハンガリーを通ってスロベニア、オーストリーに通じる。南西ルートはギリシャからイタリアに通じる。
2012/12/13 ロシア、サウスストリームパイプライン計画着工
しかし、EUの反対でブルガリアが許可を出さず、ロシアは2014年12月1日、この計画を撤回した。
ロシアとトルコは同日、黒海経由でトルコにつながる新たなガスパイプラインの建設で合意し、Gazpromがトルコの Petroleum Pipeline Corporation (BOTAŞ) との間で覚書を交わした。
ロシアからトルコまでは黒海を通るBlue Stream Pipeline があるが、新しいパイプラインを建設する。
海底部分のうち660kmはSouth Stream用に予定されていたルート、その他に 250kmがトルコ向けの新ルートとなる。黒海南西部沿岸の都市 Kıyıköyから陸上に入り、ギリシア国境のİpsala までの180kmが敷設される。
年間輸送能力は315億m3で、うちトルコが 半分を引き取る。トルコからブルガリア、セルビア、ハンガリーを経由して欧州へと輸送する。
2014/12/4 ロシア、South Stream 計画を取り止め
稼働でロシアは欧州へのエネルギー輸出の拡大を狙う米国をけん制する。
ロシアはバルト海経由でドイツと結ぶ「ノルドストリーム2」建設も主導する。
米国では2019年12月20日、トランプ大統領の署名で「国防権限法」が成立した。米国は、欧州のロシアへのエネルギー依存が深まることで「欧州の安全保障上の脅威」になると懸念しており、国防権限法で「ノルト・ストリーム2」への制裁を決めた。今後、明らかになるが、敷設事業に関係する企業が制裁対象になる見込み。
米国の決定を受け、敷設事業に参加するスイス拠点のAllseasは12月21日、作業の停止を発表した。
パイプラインの総延長約1200kmのうち、残りは約130kmとなっている。Allseas社の離脱で、事業を主導するガスプロムは関係企業に代行させる検討を始めた。
米国の制裁で、完成が2020年後半にずれ込む可能性も取りざたされている。ロシアのノワク・エネルギー相は、2020年内完工を目指す考えを示した。
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ロシアとウクライナは2019年12月19日、2020年1月以降もウクライナのパイプラインを経由してロシア産の天然ガスを欧州に供給することで基本合意した。
これにより2020年以降のロシアの欧州向けガス輸出は下記の通りとなる模様。
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2019/12/27 ロシアとウクライナ、欧州向けガス輸出で合意
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