Saudi AramcoとインドのReliance Industriesは2019年8月12日、AramcoがRelianceのOil-to-Chemicals 部門に出資する非拘束のLetter of Intent を結んだ。
Oil-to-Chemicals 部門の事業価値を750億ドル(債務込み)と想定し、これの20%を取得する。150億ドルの投資となり、外国企業によるインドへの投資の最大のものの一つとなる。
2019/8/16 Saudi Aramco、インドのRelianceの石油・化学関連事業へ出資
しかしインド政府は9月にDelhi High Court にRelianceによるAramcoへの株式売却を禁止することを求めて訴えた。
インド政府は、RelianceとパートナーのBG Exploration & Production(Shell)との間で、Panna-Mukta and Tapti 石油・ガス田の Production Sharing Contractsでの政府取り分を巡ってロンドンの国際調停裁判所で争っている。政府の主張は、Relianceは410億ドルある債務の縮減のためAramcoに事業の20%を売却しようとしており、そうなれば、政府への35億ドルの支払いができなくなるというもの。
Delhi High Court は12月20日、Relianceに対し財産額を開示するよう求めた。
これに対し、Relianceは12月22日、裁判所に反論した。Panna-Mukta and Taptiに関して政府への直接の債務はなく、調停裁判所は今のところ支払いを命じておらず、政府の請求は違反であるとしている。
調停裁判所は2016年に一定の事項について認定した。しかし賠償額は決めておらず、全ての判断をしてから決めるとした。
これに対し、RelianceとBGは英国の裁判所に訴え、裁判所はある部分についてRelianceとBGの主張を認め、調停裁判所に再検討することを指示した。(政府側は控訴し、最終判断はまだ出ていない。)
これを受け、調停裁判所は2018年12月にReliance側に有利な判断に変更した。
しかし、政府側は当初の調停裁判所の判断に基づき、一方的に賠償額を決定し、請求した。
Relianceは、2018年の判断に基づくと、賠償額は著しく減少するのに、政府はこれを無視しているとしている。
調停裁判所でペンディングとなっている事項のなかで最大のものがProduction Sharing Contractsでのコスト回収限度の増である。調停裁判所はReliance側のコスト回収限度の増の申請について本年に聴取する予定で、これが認められると、政府側の請求額は更に低減する。
Panna-Mukta and TaptiはRelinceが30%、BGが30%、ONGCが40%のJVであるが、ONGCは政府の指示で調停裁判には参加していない。但し、調停の結果に従う。
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Panna-Mukta and Tapti 石油・ガス田はMumbai沖のアラビア海の石油・ガス田で、ONGC(石油天然ガス公社:政府74%出資)が発見し、1994年にRelianceと米国のEnronに開発権が与えられた。政府を代表してONGCが参加し、Reliance 30%、Enron 30%、ONGC 40% で事業を進めた。
その後、Enronが破綻し、2003年に英国のBGがこれに代わった。BGは2016年にShellに買収された。
Panna-Mukta and Tapti 石油・ガス田の25年間のProduction Sharing Contractsは2019年12月21日に期限が到来した。
RelianceとBGは、権益を政府(ONGC)に引き渡した。
Panna-Mukta and Tapti 石油・ガス田のうち、Taptiガス田は2016年に生産を停止しており、同年にONGCに渡されている。
Panna-Mukta and Tapti 石油・ガス田は1994年12月以降、 211 MMBBLの石油と1.25 TCF の天然ガスを生産した。
2019年の生産は、原油が ~10,000 bbls/day、天然ガスが140 mmscf/day であった。
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