中外製薬、2019年12月期決算 絶好調

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中外製薬の業績は大好調である。

自社新薬の好調な販売によって、中外の収益構造は大きく変化している。

中外が創製し、ロシュが世界で販売する医薬品について、売上高に応じてロシュからロイヤルティ収入を受け取ることになっており、これが急増し、業績に貢献している。

ロシュの製品を日本で売って収益を上げるスタイルから、自社新薬をロシュを通してグローバルに展開して稼ぐ構造へと変わりつつある。

利益の急増で配当も一気に増やした。

単位:百万円、配当は円/年
売上高 営業利益 税引前
利益
株主利益 配当
IFRS core IFRS core
17/12 534,199 98,934 103,186 97,031 72,713 76,700 62
18/12 579,787 124,323 130,336 121,449 92,488 97,300 86
19/12 686,184 210,597 224,896 207,893 157,560 167,632 140
増減 106,397 86,274 94,560 86,444 65,072 70,332 54
20/12予 740,000 275,000 201,000 150


売上高

2017 2018 2019 増減 2020予想
国内 癌領域 2,259 2,257 2,405 148 2,288
骨・関節領域 933 1,005 1,084 79 901
腎領域 393 363 346 -17 247
その他 468 375 541 166 680
4,053 3,999 4,376 377 4,116
海外 940 1,279 1,513 234 1,684
合計 4,993 5,278 5,889 611 5,800
ロイヤリティ 172 241 765 524 1,410
その他収益 177 270 208 -62 190
合計 5,342 5,798 6,862 1,064 7,400


業績を牽引するのは、自社創製した▽関節リウマチ治療薬「アクテムラ」(2019年国内 418億円、輸出 883億円)▽肺がん治療薬「アレセンサ」(国内 230億円、輸出 453億円)▽血友病A治療薬「ヘムライブラ」(国内252億円、輸出36億円)の3つの新薬。

中外が創製し、ロシュが世界で販売した薬は、売上高に応じて中外がロイヤルティ収入を受け取ることになっている。ロイヤリティ収入は2018年が241億円に対し、2019年は765億円に急増、2020年にはさらに8割強増え、1,410億円にもなる。

このうち、ロシュ向けヘムライブラの収益構造は次の通り。

2018 2019 2020予想
輸出売上 23億円 33億円 230億円
ロイヤリティ収入 20億円 417億円 857億円

 輸出は2019年までは初期輸出価格、2020年以降は通常輸出価格による。
 他に、知財ロイヤリティ収入、共同販促によるプロフィットシェアとコスト負担あり。



営業損益


コア営業利益は2018年の1,303億円が2,249億円へと946億円の増益となった。

このうち、製品の売上総利益の増が578億円、ロイヤリティその他の増が454億円で、研究開発費の増(79億円)、販売費・一般管理費の増(7億円)があったが、全体で946億円の増益となった。

2020年予想では更に501億円増え、2,750億円となる。うちロイヤリティの増を645億円見込む。


当期損益 


配当

2020年7月1日を効力発生日として、普通株式を1株につき3株の割合で株式分割した。
2020年下期の配当は25円だが、従来ベースでは75円となる。     



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