昭和電工の2019年12月期決算

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昭和電工の決算が発表された。

2018年は黒鉛電極の大増益で無機部門の営業損益が1324億円となり、当期利益は前年比 741億円の大増益となり、配当も増やした。

これは中国で地条鋼という違法鉄鋼が禁止されて鉄鋼が不足し、鉄スクラップから鉄鋼を生産する電炉での生産が増え、黒鉛電極の需要が急増、価格が急騰した という特殊事情によるものである。当時からいつまでも続くものではないとされていた。

2019年下半期より、顧客である電炉鋼メーカーにおける黒鉛電極の在庫調整が継続し、特に景気減速が目立つ欧州市場においては稼働率の低下が生じている。 別記事 参照

この結果本年は無機部門の営業損益は893億円と33%減となったが、2020年12月期にはさらに大幅に減り、140億円になると予想している。

これを受け、当期の株主帰属損益は前年比384億円の減の731億円となった。

同社では想定外であった黒鉛電極の利益を利用し、前期に続き当期も減損損失を計上した。

2018年に昭和アルミニウム缶の飲料用アルミ缶事業(減損額88億円)、リチウムイオン電池材料事業(46億円)、彦根事業所の遊休資産(同60億円)、先端技術開発研究所(19億円)など 、226億円の減損損失を計上 。
当期も
アルミ加工品 (104億円)、合成樹脂(28億円) ほか、157億円の減損損失を計上した。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 株主帰属
当期損益

配当

中間 期末
2016/12 6,712 421 387 123 0 30
2017/12 7,804 777 639 374 0 50
2018/12 9,921 1,800 1,788 1,115 20 100
2019/12 9,065 1,208 1,193 731 50 80
前年比 -857 -592 -595 -384

10

2020/12予 8,100 500 470 150 60 70

2016/7/1付けで10株を1株に株式併合した。2016年下期以降は実際は10倍の配当(2016/下は30円)


営業損益(億円)の推移は下記の通り。無機セグメントは下期に入り激減した。

16/12 17/12 18/12 19/12 増減 20/12予想
石油化学 207 334 203 172 -31 120
化学品 138 165 174 137 -37 150
エレクトロニクス 139 219 124 49 -75 120
無機 -58 71 1,324 893 -432 140
アルミ 44 67 49 17 -32 40
その他 18 6 29 18 -11 25
全社 -68 -84 -104 -78 26 -95
合計 421 778 1,800 1,208 -592 500


無機セグメントの2020年の営業損益予想は2019年4Qの延長

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