COVID-19、WHOが2つの治療法試験 --- 3週間以内に結果判明

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抗HIV薬は作用機序により、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤(PI)、インテグラーゼ阻害剤(INSTI)、侵入阻害剤に分類される。

HIVはその増えていく過程でウイルスの組み立てに必要な蛋白質を感染した細胞に作らせる。その蛋白質は、まず大きな分子として組み立てられるが、そのままの大きさではウイルスが組み立てられない。そのため、HIVに特有のプロテアーゼという酵素がその蛋白質を適当な大きさに切断する。この酵素の働きを阻害するのがプロテアーゼ阻害薬である。

HAART (highly active anti-retroviral therapy)療法は、複数の抗HIV-1薬を各人の症状・体質に合わせて組み合わせて投与し、ウイルスの増殖を抑えAIDS の発症を防ぐ治療法。

もう1つは、Gilead Sciencesが開発した抗ウイルス薬 Remdesivir で、エボラ出血熱及びマールブルグウイルス感染症の治療薬として開発され、MERSおよびSARSウイルスなどのコロナウイルスに対して抗ウイルス活性を示すことが見出された 。

研究チームは、Remdesivir がMERSコロナウイルスに近いCOVID-19の治療にも使える可能性を指摘している。

Remdesivir はどの国でもまだ承認を受けていない。

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北京市衛生健康委員会は1月26日、新型肺炎を発症した患者の治療計画に、LopinavirとRitonavir の配合剤であるKaletraを含めたことを明らかにした。
AbbVieは150万ドル相当の Kaletra を寄付する。


タイ保健省は2月2日、バンコックのRajavithi Hospitalで、Kaletra とロッシュ/中外製薬のインフルエンザ薬タミフル(oseltamivir)を併用して重症患者に投与すると、症状が劇的に改善したと発表した。

武漢からタイを旅行で訪れた70代の中国人女性がCOVID-19に感染していることが分かり、女性に両剤を投与したところ、48時間以内に呼吸器系からコロナウイルスが検出されなくなったという。

タイ保健省の幹部によると、「エイズの発症を抑える薬は、中国で使われているという情報などがあり投与した。だが、その薬だけでは症状が改善しなかったため、MERSなどで使われたことがあったというインフルエンザの治療薬をさらに投与した。患者は生死の瀬戸際にあり、医師が投与を決断した」と説明した。 (NHK)

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加藤厚生労働相は2月22日、新型インフルエンザ治療薬「アビガン」Favipiravir)の使用を検討する意向を示した。

アビガンは富士フイルム傘下の富山化学工業 によって1998年に発見された。

富士フィルムは2018年5月14日、大正製薬から7月31日に富山化学株式34%を取得して富山化学を完全子会社化すること、放射性医薬品の富士フイルムRIファーマと富山化学を10月1日付で統合し、富士フイルム富山化学としてスタートさせることを発表した。

インフルエンザウイルスは、感染した細胞内で遺伝子を複製し、増殖・放出することで他の細胞に感染を拡大する。

現在、治療に用いられている抗ウイルス剤はノイラミニダーゼ阻害剤(Neuraminidase inhibitors)で、増殖されたウイルスの放出を阻害して感染の拡大を防ぐものだが、アビガンは、ウイルスの細胞内での遺伝子複製を阻害することで増殖を防ぐRNAポリメラーゼ阻害剤である。

2018/5/17富士フィルム、富山化学を完全子会社化し、富士フィルムRIファーマと統合


COVID-19 治療薬候補として3種の抗ウイルス治療薬が候補にあがったことになる。

WHO:Gilead Sciencesが開発した抗ウイルス薬 Remdesivir
タイの病院:ロッシュ/中外製薬のタミフル
厚労省:富士フィルムの
アビガン

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