11月の米大統領選に向けた民主党の候補者選びの初戦アイオワ州党員集会で、インディアナ州サウスベンド前市長のPete Buttigieg 氏の得票率が26.2%で僅差で首位となった。
付記
米国メディアは3月1日、Pete Buttigieg 氏が選挙戦から撤退する意向を固めたと一斉に報じた。黒人やヒスパニックへの支持の広がりに欠け、2月29日のサウスカロライナ州の予備選挙では4位にとどまるなど支持が伸び悩んでいた。
サウスカロライナ州結果
① Biden 48.4% ② Sanders 19.9% ③ Tom Steyer 11.3% ④ Buttigieg 8.2% ⑤ Warren 7.1%
報道によれば、得票率と獲得代議員数は下記の通り。代議員についてはあと一人が未定となっている。下記の事情で、アメリカの主要メディアは依然として勝者を確定させていない。
民主党は州単位の比例代表制をとり、その州の代議員議席は州での得票に比例して各候補に配分される。 (全米では3979人、アイオワ州は41人)
(共和党は州ごとに異なり、本選挙同様の勝者総取りとする州もあれば比例配分の州、地域ごとの勝者総取り枠などを加味した複雑なルールによって議席を配分する州もある。 )
付記 民主党支部は2月9日、最終獲得代議員数を発表した。再点検のため確定ではない。
得票率 獲得代議員 Pete Buttigieg 前South Bend市長 26.2% 13人→14人 Bernie Sanders 上院議員 26.1% 12人 Elizabeth Warren上院議員 18.0% 8人 Joe Biden前副大統領 15.8% 6人 Amy Klobuchar上院議員 12.3% 1人 その他 - 合計 100% 41人
各集会所からの報告に使われるアプリの不具合など集計トラブルにより集会開催から3日後にようやく全会場分をとりまとめた数字が公表された。
しかし、ニューヨーク・タイムズは、約100カ所の集会所で集計の誤りが確認されたものの、州本部の中間集計結果に反映されていないと報じた。
このため、民主党全国委員会委員長はアイオワ州党員集会の集計を「再点検」するよう求めた。しかし、アイオワ支部の責任者は再点検の要請を拒否し、陣営からの要請があれば点検を開始すると述べた。申し立て期間は当初、2月7日正午だったが、2月10日正午まで延長した。
付記 サンダース上院議員は2月10日、再点検を要請した。
候補者たちは、2月11日に予備選挙が行われる東部ニューハンプシャー州に移り、戦っている。
付記 2月11日のNew Hampshire州の予備選挙ではSanders上院議員がトップ、Pete Buttigieg前知事が僅差で2位となった。Biden副大統領は今回も敗北した。
Iowa New Hampshire 得票率 代議員 得票率 代議員 Pete Buttigieg 前South Bend市長 26.2% 14人 24.4% 9人 Bernie Sanders 上院議員 26.1% 12人 25.7% 9人 Elizabeth Warren上院議員 18.0% 8人 9.3% ー Joe Biden前副大統領 15.8% 6人 8.4% ー Amy Klobuchar上院議員 12.3% 1人 19.8% 6人 合計 100% 41人 24人
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首位になったPete Buttigieg氏は1982年1月生まれで、2012年に29歳でインディアナ州South Bendの市長に就任した。米国で10万人以上の人口の市の市長としては最年少。
自ら同性愛者であることを公表しており、出馬表明では2018年に結婚した「夫」を紹介している。
中道派とされ、国民皆保険の導入を唱える左派候補Sanders、Warren両上院議員に対して「ばらまき政策」だと批判し、公的保険と民間保険の併用を主張する。
Sanders氏と同様に、連邦法人税率を「トランプ減税」実施前の35%へ戻すと主張する。
世代交代を売り文句に、同じ中道派のBiden前副大統領から浮動票を奪った。
トランプ大統領と真逆の「予測可能で無難な政策」で安心感を誘う。
Elizabeth Warren上院議員については下記を参照
2019/10/10 米民主党大統領候補 Elizabeth Warren 上院議員
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今回、集計結果発表が遅れるトラブルがあった。
アイオワ州では代議員の配分は3段階で決まる。(1)有権者が全候補から選ぶ1回目の投票をする (2)1回目で得票率が15%に満たない候補を支持した有権者が別の候補に支持を変更するかを判断した上で2回目の投票をする (3)得票数に応じて代議員を各候補に比例配分する。
党員集会は2月3日 午後7時から州内約1700カ所で開かれた。党本部が各集会の結果を集計し、午後10時にも大勢が判明する筈であった。
しかし、集計に不一致が発生し、同日中に結果を発表できない異例の展開となった。前回2016年大統領選の反省から、透明性向上を掲げて投票過程すべてを公表する手法に変えたのが裏目に出た 。
問題となったのは Shadow Inc. という営利企業によって開発されたといわれるモバイルアプリで、アイオワ民主党が63千ドルを支払い、「安くて簡単に使えるツール」の開発を依頼した 。
報道では、「この2カ月で大急ぎで作られ」、「これほど重要な政治イベントで集計に用いられるアプリなら当然要求される綿密なテストを経ていない」という。
アプリが収集してデータは自体は正常でありまったく問題ないが、データの一部分しか集計出力されない という問題が起きていた。アプリの結果出力部分のプログラミング上の問題だと判明した。ハッキングや侵入の試みがなかったことが確認されているという。
アイオワ州の民主党は1700の会場で紙に残された手書きの記録を確認する作業を進め、開始から21時間がたった2月4日午後4時ごろ、途中の集計状況を公表した。2月6日にようやく全会場分をとりまとめた数字が公表された。
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