既報の通り、帝人は2017年10月10日、DuPontと共同で、米国、欧州及び中国のフィルム事業の合弁会社4社の所有持分全てをIndorama Netherlands B.V.に売却することを決定したと発表した。
帝人とDuPontは2000年よりポリエステルフィルム事業を統合し、世界7カ国で合弁会社を設立してグルーバルに事業を運営してきたが、日本とインドネシアの合弁については2016年8月に帝人100%とすることを決め、残る米国、英国、ルクセンブルグ、中国のJVをIndoramaに売却するというものである。
しかし、発表はなかったが、この売却計画は頓挫した。
その後、帝人は2019年10月1日付で、以前の帝人とDuPontのJVで帝人100%子会社の帝人フィルムソリューションおよびP. T. Indonesia Teijin Film Solutionsを東洋紡に売却した。
(以上の詳細は下記参照)
この結果、Indoramaに売却する予定であった4か国のJVだけが、いまだに帝人とDuPontの事業として残った形となっている。
関係者によれば、両社は売却に向け金融アドバイザーを起用した。売却額は約10億ドルになる可能性があるという。
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帝人は2016年8月19日、日本とインドネシアのDuPontとのJVについて、DuPontの持分を買収し、帝人100%とすると発表した。
帝人とDuPontは2000年よりポリエステルフィルム事業を統合し、世界7カ国で合弁会社を設立してグルーバルに事業を運営してきた。
しかし、中国経済の減速に伴う需要低迷、中国メーカー台頭による市場構造の変化により、事業環境は厳しさを増し、事業構造の変換が急務になっている。
今回、事業運営柔軟性と意思決定の迅速性を向上するため、国内合弁とインドネシア合弁について、DuPont持分を取得することで合意した。
旧社名 出資比率 % 新社名 帝人 DuPont 日本 帝人デュポンフィルム 60.0 40.0 帝人フィルムソリューション インドネシア P.T. Indonesia Teijin DuPont Films 50.1 49.9 P.T. Indonesia Teijin Film Solutions
2016/8/23 帝人、日本とインドネシアのDupont とのJVを100%子会社化
DowDuPontは2017年9月1日、The Dow Chemical Company とE.I. du Pont de Nemours & Company が合併が2017年8月31日に完了したと発表した。
2017/9/5 DowDuPont 合併完了
帝人は2017年10月10日、DuPontと共同で、米国、欧州及び中国のフィルム事業の合弁会社4社の所有持分全てをIndorama Netherlands B.V.に売却することを決定したと発表した。
DuPontは、Dowとの統合により、本事業から完全撤退、帝人は、2016年にDuPontから持分を買い取った日本とインドネシアの事業の更なる高機能化に資源を集中的に投入する。
実際には、この売却が頓挫した。
社名 出資比率 %
備考 今後 帝人 DuPont その他 日本 帝人フィルムソリューション 100 従
来50.1/49.9→60/40 更なる高機能化に資源を集中的に投入 インドネシア P.T. Indonesia Teijin Film Solutions 100 50.1/49.9 米国 DuPont Teijin Films U.S. 49.9 49.9 (*1) 0.2 *1 帝人デュポンフィルム 帝人、DuPontとも
持分をIndoramaに売却英国 DuPont Teijin Films U.K. 50.0 50.0 ルクセンブルグ DuPont Teijin Films Luxembourg 50.0 50.0 中国 DuPont Hongji Films Foshan
佛山杜邦鴻基薄膜JV(*2) 51.0
(*3) 49.0 *2 DuPont Teijin Films China
*3 佛山塑料集団(Foshan Plastics Group)(49.0) (51.0)
2017/10/14 帝人、DuPontとのポリエステルフィルム合弁会社の持分を売却
東洋紡は2019年5月22日、帝人との間で、帝人フィルムソリューションおよびP. T. Indonesia Teijin Film Solutionsの株式取得に係る譲渡契約を締結したと発表した。2019年10月1日付で、両社の全株式を取得し、両社を完全子会社とする。
東洋紡は1960 年代にフィルム事業へ進出、包装用途から工業用途まで幅広いフィルム製品を製造、販売してきた。
2018 年中期経営計画において、"フィルム&コーティング"を成長分野の一つに位置づけている。本株式取得を通じて、高機能なフィルム製品の開発・供給体制の一層の強化を図る。また、海外生産能力を拡充し、顧客のニーズにグローバルに対応しながら、フィルム事業のさらなる拡大に努めていくとしている。
帝人は、帝人グループの経営資源の最適配分の観点から、今回の決定に至ったとしている。
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