トランプ大統領の弾劾裁判で無罪評決

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トランプ米大統領の弾劾裁判は2月5日、陪審員を務める上院議員による評決を行い、与党・共和党の多数票で、無罪判決が下された。弾劾には2/3の賛成が必要。

①自らの選挙を有利にするためウクライナに圧力をかけたとする「権力の乱用」

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
有罪 1 45 2 48
無罪 52 0 0 52
合計 53 45 2 100


共和党
からは、証人尋問の投票で賛成に回った2議員のうちのMitt Romney議員が有罪とした。もう一人のSusan Collin議員は無罪に投じた。

②「議会の妨害」

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
有罪 0 45 2 47
無罪 53 0 0 53
合計 53 45 2 100


Mitt Romney議員も無罪とした。


過去に弾劾訴追された2人の大統領はいずれも、上院で2/3に達せず、弾劾を免れている。

Johnson大統領は、連邦政府による南部再建で南部人に寛大な政策をとったとみられ、そのせいで共和党急進派のメンバーと馬が合わず、政敵である陸軍長官スタントンを罷免したことからThe Tenure Law(政府高官が在職中は罷免を免れる法律)を破ったという口実で弾劾裁判にかけられた。
上院での弾劾決議の採決では賛成35票・反対19票で2/3に1票足りず、大統領の座を保った。

Clinton大統領は、「不適切な関係を持った」Monica Lewinsky事件で大統領の「品格」を問われ たが、「不適切な関係」では、さすがに弾劾にはならない。
大統領は大陪審での判事の前での宣誓証言の場で疑惑を全面否定した。前職のアーカンソー州知事時代のセクハラ疑惑で州職員の女性から訴えられていたが、その宣誓証言の場でたまたま、この実習生ジョーンズとの関係を聞かれ、うその供述をした。

司法委員会は4つの訴因を挙げた。第1の訴因は大陪審への偽証、第2の訴因は司法手続きの妨害、第3がジョーンズ訴訟での偽証、第4は下院司法委員会から大統領に送られた81の質問の一部に対する虚偽の回答である。

下院本会議での審議では、第1の訴因については228対206、第2の訴因については221対212の僅差であった。残りの訴因は否決された。

上院の弾劾裁判では、第1訴因については45対55、第2訴因では50対50で、いずれも弾劾賛成が2/3に達せず、大統領罷免は免れた。


なお、Nixon大統領のWatergate事件では、下院司法委員会は第1の弾劾(司法妨害)で27票対11票、第2の弾劾(権力の乱用)で28票対10票で、第3の弾劾(議会に対する侮辱)で21対17で弾劾勧告を可決、下院本会議での弾劾決議が出る前に大統領を辞任した。

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