アスベスト(石綿)が原因で健康被害を受け、国との和解後に症状が悪化したり亡くなったりしたとして、元労働者と遺族の計4人が和解金との差額を支払うよう国に求めた訴訟は2月7日、大阪地裁で改めて和解が成立した。
和解したのは、1950~70年代に大阪府内の石綿紡織工場で働いていた女性2人(77歳と81歳)と、既に亡くなった男女2人の遺族。別の原告1人についても、近く和解する見通し。
石綿被害で肺がんや石綿肺になった元労働者5人は2014~18年に国とそれぞれ和解し、弁護士費用を含めて最大1265万円が支払われた。しかし、その後に死亡したり症状が悪化したりし、1人当たり165万~650万円の差額を求めて2019年10月に提訴していた。
当初の和解は和解時点の病状に応じて決まった。
石綿肺管理2・非合併の場合の基準慰謝料額は550万円、合併症が発症した場合は700万円。
肺がんや中皮腫で存命の場合は1150万円、死亡の場合は1300万円
早期救済が目的のため、和解後に悪化した場合の規定はない。
このため、和解後に悪化したり、死亡した場合に和解金の差額を求めて各地で訴えていた。
2019年11月11日に、生前に和解後、亡くなった被害者の遺族が、国に追加の賠償金を請求していた案件について札幌地裁で和解が成立している。
今回の原告らの場合、最初の和解時に今後の請求権を放棄する条項が含まれていたが、国側は反論せず、再度の和解に応じた 。
弁護団では、被害者の公平・平等からも当然の結果としている。
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大阪府の泉南地域のアスベスト紡織工場の元従業員とその遺族89人が、規制の遅れで肺がんになったなどとして国に賠償を求めた2件の集団訴訟(大阪アスベスト訴訟第1陣、第2陣)で、最高裁第1小法廷は2014年10月9日、規制権限を行使しなかった国の対応を違法とする判決を言い渡した。
賠償金については下記の通り。
地裁 | 高裁 |
最高裁 |
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1971年以前から作業に従事 | 1971年以降従事 | |||
第1陣 | 4億3500万円 | 敗訴 | 28名 賠償額確定のため、審理差し戻し |
6名 敗訴 |
第2陣 | 55名計 1億8000万円 |
55名計 3億4500万円 |
54名計 3億3200万円 |
1名 敗訴 |
2014/10/10 アスベスト訴訟、最高裁 「国に責任」の判断
最終的に和解により国が支払う賠償金の額は、上記第2陣訴訟で示された金額の1/2(国の責任分)となった。遅延賠償金と弁護士費用は別途支払う。
管理 区分 |
賠償額 |
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生存 | 死亡 | ||
2 | 合併症なし | 550万円 | 1200万円 |
合併症あり | 700万円 | 1300万円 | |
3 | 合併症なし | 800万円 | 1200万円 |
合併症あり | 950万円 | 1300万円 | |
4 | 肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚 | 1150万円 | 1300万円 |
管理1 じん肺の所見はなく、特に就業上の制限なし。
管理2 粉じんにさらされる程度を少なくすることが必要
管理3 粉じんにさらされる程度を少なくすることが必要で、場合により 粉じん作業から作業転換することが望まれる。
管理4 療養が必要
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