決議案は、イランに対するさらなる敵対的行動に入る前に、大統領は議会からの明示的な承認を必要とする内容。ただし「差し迫った」脅威からの防衛は例外としている。
米軍が1月にイラン革命防衛隊のソレイマニ将軍を暗殺したことで、両国が全面戦争に突入する危険性が急激に高まった。イランはイラクの米軍基地を報復攻撃を行い、米軍関係者109人が脳に損傷を負った。
下院は1月9日に、アメリカが急襲される場合を除き、イランに対するいかなる軍事行動も連邦議会の承認を必要とする内容の決議案を賛成224、反対194で可決した。
(この決議案は、議会の立場などを示す「両院一致決議」の案で、法的拘束力がなく、大統領の署名の必要がない。拒否権の問題は発生しない。)
上院は下院案とは異なる案を審議した。共和党のマイク・リー上院議員(ユタ州)は、決議案の共同提出者に名を連ねた。
上院では与党共和党が多数を占め、大統領は投票前に、アメリカのイランに対する安全を損なうものだと警告を発した。
It is very important for our Country's SECURITY that the United States Senate not vote for the Iran War Powers Resolution.
We are doing very well with Iran and this is not the time to show weakness.
Americans overwhelmingly support our attack on terrorist Soleimani. If my hands were tied, Iran would have a field day. Sends a very bad signal.
The Democrats are only doing this as an attempt to embarrass the Republican Party. Don't let it happen!
しかし、与党・共和党からも8人が賛成し、可決した。
共和党 民主党 民主系
無所属合計 賛成 8 45 2 55 反対 45 ー ー 45 合計 53 45 2 100
上院と下院の決議案には開きがあるため、再び下院で可決する必要がある。民主党のペロシ下院議長は同様の決議案を月内に採決すると明らかにした。
ホワイトハウスは上下両院で可決した場合に拒否権を発動する考えをすでに示している。
拒否権を覆すためには両院で3分の2の票を確保する必要がある。前回の下院、今回の上院とも3分の2の賛成を確保できていない。
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バー米司法長官は2月13日のテレビのインタビューで、トランプ大統領がツイッターで元側近の量刑軽減を要求したことを念頭に「司法省が扱う刑事事件に関してツイートを控える時だ」と批判した。
大統領のツイートについて「職務が執行できなくなる」と苦言を呈した。トランプ氏を批判することで報復措置を受ける恐れは「もちろんある」としたが、「ただ私は正しいと思ったことをする」と述べ、独立した立場で法執行を進める考えを強調した。
米連邦大陪審は2019年1月25日、共和党系ロビイストでドナルド・トランプ大統領の長年の盟友のRoger Stone をロシア疑惑捜査に関する罪状7件:公的手続きの妨害1件、偽証5件、証人買収1件の罪で起訴した。
罪状はいずれも、2016年米大統領選の最中にロシア当局が民主党全国委員会のメールサーバーをハッキングしたとされる事件に関連するもの。
ハッキングで流出した民主党幹部やヒラリー・クリントン陣営幹部のメールは、ウィキリークスが公表し続けた。ハッキング被害に遭ったクリントン陣営の選対委員長は、Stone被告がハッキングを事前に知っていたと非難していた。被告は、流出メールの公表に先駆けてウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジに「連絡をとった」ことは認めていたが、そのやりとりは「完全に合法だ」と話していた。
被告はウィキリークスとのやりとりの内容について下院情報委員会に宣誓した上で偽証し、やりとりの記録はないとうそをついたとして、罪に問われている。
さらに被告がウィキリークスについて、トランプ陣営幹部に話し、「クリントン陣営にとって打撃となる情報を組織1が持っているかもしれない」と伝えていたとしている。また、トランプ陣営幹部はウィキリークスが今後さらに情報を公表する予定はないのか問い合わせるよう、ストーン被告に接触したという。
被告は昨年11月に有罪となり、検察当局は2月10日、禁固7~9年を求刑した。
トランプ大統領は2月11日にツイッターで、検察が最大9年の禁錮刑が妥当との見解を示したことについて「不公平だ」などと反発した。
This is a horrible and very unfair situation.
The real crimes were on the other side, as nothing happens to them.
Cannot allow this miscarriage of justice!
司法省は同日、求刑は「過度で、正当な根拠がない」とする新たな裁判書類を提出 、求刑を軽減する考えを示した。(その後、禁錮3~4年に軽減した。)
求刑を疑問視する裁判書類には、被告の事件を担当してきた検察官4人は誰も署名せず、この事件の担当に加わったばかりの担当者が提出した。
その直後、4人の検察官が担当を離れた。 検察官の1人は連邦検察官を辞職する考えを明らかにした。
バー米司法長官は 大統領の発言を批判したが、検察の見解を撤回したことについては大統領の関与を否定した。司法省は、求刑の軽減する方針について、 大統領がツイートする前の2月10日夜に決定したと主張している。
大統領は司法省が量刑意見を撤回したことに関して、バー司法長官を賞賛するとともに、司法省当局者に謝意を示した。
民主党のアダム・シフ下院情報委員長は声明で、大統領のいかなる介入も「あからさまな権力乱用」に当たるとの考えを示した。「トランプ大統領は不正を隠すために議会でうそをついた人を守り、司法長官がその努力を助けるという、明確なメッセージを発することになる 。」
ストーン被告の量刑は今月20日に言い渡される予定。
付記
Roger Stone 被告に対し、首都ワシントンの連邦地裁は2月20日、禁錮3年4カ月を言い渡した。
ストーン被告は禁錮刑を終えた後、2年間の保護観察を受ける。また、罰金2万ドルと250時間の地域奉仕活動も言い渡された。
判事は、ストーン被告が政治的な立場のせいで摘発されたとの主張は誤りで、「大統領のために隠ぺいを行ったからだ」とした。
ストーン被告は、陪審が偏見をもっていたとして控訴する予定。裁判所は、ストーン被告による再審請求を検討する間の措置として刑の執行延期を認めた。
トランプ大統領は西部ネバダ州の会合で、判決を「不公平だ」と改めて批判した。トランプ大統領が恩赦を与えるとの見方が強まっていたが、大統領は「今後の成り行きを見守る」「いつか決定を下す」と述べ、直ちには恩赦は与えない意向を示した。
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