大阪大学発バイオベンチャー「ビズジーン」が、新型コロナウイルスの感染を判定する簡易検査キットの開発を開始、開発費をまかなうため、クラウドファンディングで寄付を募っている。
患者の喉などから採取した粘液と試薬を混ぜて垂らすだけで15分ほどで判定でき、小さなクリニックなどでも使えるのが特徴。
同社の概要:
社名 株式会社ビズジーン 英名:VisGene, ltd. 所在地 茨木市 大阪大学 産業科学研究所 オープンイノベーション棟 設立日 2018年4月2日 主な事業 [研究開発]
ウイルスの迅速検出技術、病原体やヒトの遺伝子診断技術、ウイルス濃縮技術[受託研究]
同社は検体中のウイルスを検出する「簡易検査キット」(核酸クロマト法)を開発中で、デングウイルスが引き起こす「デング熱」の簡易検査キットでは臨床治験が開始されている。
今回は、その技術を応用し、新型コロナウイルスの遺伝物質やたんぱく質をとらえる試薬の開発を進めている。発熱などの症状が出ている人の鼻や喉などから採った粘液と試薬を混ぜるだけで、15分ほどで感染の有無が判断できるようにする。
ーーー
現在、新型コロナウイルスの感染の有無は、「PCR検査」を使用する。
本日の別記事の神奈川県衛生研究所と理化学研究所が開発した新技術 SmartAmp法も既存のリアルタイムPCR装置をそのまま利用するものである。
PCR法は下記の手順で行うが、遺伝子増幅に時間がかかる。(SmartAmp法ではこの時間が短縮できる。)
これに対し、ビズジーン社の「核酸クロマト法」では、使い切りの検査キットに唾液などを垂らせば完結し、高価な機器や技術者は不要で、PCR法では6時間かかる検査が15分で完了する。
同社の試薬でウイルス遺伝子を捕獲し、ウイルス遺伝子を標識して可視化する。この作業は15分程度で終わる。
バンドが2本表示された場合、陽性である。
従来法では、検出するためには2種類の抗体による「ウイルスサンドイッチ」が必要だが、同社の方法では1種類の抗体で「遺伝子捕獲」を行う。
簡易検査キットができれば、小さなクリニックでもその場で検査が可能になり、素早い対応につながる。同社は4月中にも試作品を完成させることをめざす。但し、最終的な製品化には数年かかる可能性もある。
コメントする