SABICは1月29日、2019年決算の概要を発表した。 第4四半期には、この10年来初めて、赤字となった。
付記 2月7日に第4 四半期決算発表
(1 SAR:saudi riyal = 0.266688 米ドル)
第4四半期の株主帰属損益は7.2億SAR(1.9億米ドル)の赤字となり、年間損益は56.3億SARにとどまった。
四半期別損益推移の通り、2018年第2四半期以降、損益は急激に悪化している。
第4四半期にはPTAやPPを扱う子会社のArabian Industrial Fibers Co (Ibn Rushd)が28億SARの減損損失を計上、SABICも12.7億SARの損失を計上した。
付記 第3四半期には25%を所有するClariant株式に 15億riyals (4億ドル) の減損を計上した。
SABICのYousef Al-Benyan 副会長・CEOは以下の通り説明している。
2019年の石油化学産業は、成長がグローバルに緩やかになる一方で、主要製品で新規供給が増え、損益が悪化した。
2019年下期に業績が悪化したが、この傾向は2020年も続く。
そのなかでSABICはコスト削減と安全操業でこれに対応した。一般管理費は前年比で5%削減した。
石油化学は市況産業(cyclical industry )だが、SABICは安定した長期的成長を狙ってきており、向かい風にも対応できる。
Sustainability and innovation がSABICにとって成功要因である。
CEOは昨年度に将来に向かって下記の事項を実施したと説明している。
・SABICが42.99%出資するSaudi Arabian Fertiliser(SAFCO)が SABIC Agri-Nutrients Investment Company (SANIC)を買収し、統合。
SAFCOは増資した株で支払い、SABICの出資は50.1%になった。
SANICは、National Chemical Fertilisers Company (Ibn Al Baytar) とAl Jubail Fertilizer Company (Al Bayroni) に50%出資、Gulf Petrochemical Industries Company (GPIC)に33.33%を出資している。
統合により、合理化を図る。
・SADAFとPetrokemyaの統合
Shell は2017年1月22日、SABIC とのJV SADAF の持ち分(50%) をSABIC に820百万ドルで売却する契約に調印した。
2017/1/25 Shell、サウジのSABIC とのJV持ち分をSABIC に売却
SABICは2019年10月、SADAFをSABIC100% のPETROKEMYAに吸収合併した。
・Saudi Methanol Company (AR-RAZI) の出資比率を75%に引き上げ
三菱ガス化学主導の日本・サウジアラビアメタノール(JSMC)との50/50JV の合弁期限切れで、三菱ガス化学は2019年3月22日、出資比率減を選んだ。
・SABICとExxonMobileの米ガルフコーストでの石化JV Gulf Coast Growth Ventures projectの着工
年産180万トンのエタンクラッカー、エチレングリコール、2基のPE
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Saudi Aramcoは2019年3月27日、SABICの株式の70%を政府系ファンドのPublic Investment Fund (PIF) から691億ドルで買い取ることで正式に合意したと発表した。
Aramcoは買収資金を自ら調達し、PIFに691億ドルを支払う。
2019/3/30 Saudi Aramco、SABIC株式の70%を取得
EUの競争当局はこの買収を承認するかどうかを検討中で、2月27日までに決定する。
インドなどの競争当局が既に承認している。
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