韓国のCOVID-19の診断の状況

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韓国では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染者が増加しており、韓国政府は危機警報を「深刻」段階へと引き上げた。大邱広域市,慶尚北道清道郡及び慶尚北道慶山市では、「感染症特別管理地域」に指定されている。

一方、韓国ではウイルス感染の有無を調べるPCR検査が急速に普及している。

オックスフォード大学の研究者らのグループ Our World in Dataは、新型コロナウイルスについてのいろいろなデータを公開している。
  https://ourworldindata.org/coronavirus

それによると、世界の国と地域で行われた検査の数は、中国を除き、韓国が突出して多い。イタリアがこれに次ぐ。
(下図はタテが検査数、ヨコが陽性数で、目盛りはいずれも対数)

日本の検査数は、ロシア、米国、豪州、英国、スペイン、台湾等より少ない。

死者:

韓国では、ドライブスルー方式、ブース方式を採用するなど、1日に平均およそ1万2000件の検査を行っている。

自動車に乗ったまま、鼻と口からウイルス検体を採取する drive through方式は、2009年の新型インフルエンザ流行時に米スタンフォード病院で初めて導入されたが、今回,、仁川医療院感染内科専門医の提案で韓国で多数導入され、70カ所運営されている。ドライブスルー方式では1回あたり5-10分に短縮、 検査件数を増やすのに大いに貢献した。

病院の屋外に設けられたテント内に、ウイルスを外に出さないよう気圧の下げられた電話ボックスに似たブースが並ぶ。
ブースでの検査は問診から検体採取まで平均7分ほどで、結果は約6時間後に検査を受けた人の携帯電話に送られる。
ブースは消毒と換気をすれば約10分後に次の検査に使える。

韓国の新型コロナウイルス診断能力に海外が注目している。韓国の洪楠基・経済副首相兼企画財政部長官は3月20日、新型コロナウイルスの検査キットを提供してほしいとの要請が米国を含め数カ国からあり、検討していると明らかにした。

国の診断キット業者が注目を集めるのは、中東呼吸器症候群(MERS)、エボラ出血熱、新型インフルエンザなどを経験し、ノウハウを蓄積し、迅速な意思決定が可能な博士・教授出身の専門家が会社を率いている点 である。

3月16日現在で食品医薬品安全処から販売許可を得ているのは5社で、うち4社 (Kogene Biotech、Seegene、SolGent、SD Biosensor)が診断キットを大量生産し、国内の需要を満たし、海外にも輸出している。

関東化学は韓国のKogene Biotech製のリアルタイムPCR法を用いたキットの輸入販売を始めた。

4社には代表が博士、教授出身の専門家だという共通点があり、中小バイオ企業は専門家の迅速な判断と決定で先手の対応を取ることができた。

Kogene Biotechのナム・ヨンソク代表は、高麗大の生化学・分子遺伝学博士出身で、延世大機械工学部でバイオエンジニアリング部門の兼任教授を務める。
SD Biosensor
のイ・ヒョグン代表は20年間にわたり、血糖測定器やさまざまな診断キットを開発した。
Seegeneのチョン・ジョンユン代表は米テネシー大生命工学博士で、梨花女子大で生物学科教授を歴任した。
SolGentのユ・ジェヒョン代表は忠北大微生物学科の博士出身。

各社は感染症診断に関するノウハウを蓄積してきた。

Kogene Biotechは2009年の新型インフルエンザ、2015年のMERSの際に製品を開発し、政府や医療機関に供給した。
SolGent、SD Biosensorもエボラ出血熱、MERSの診断キットを開発した。

WHOは2020年1月5日、中国での原因不明の肺炎の流行を発表、韓国で最初の確定患者が出たのは1月20日である。だが、Kogene BiotechSD Biosensor、SeegeneはWHOの1月5日の発表直後に、このウイルスが韓国に入ってくるだろうと予想し、診断キットの開発に着手した。SolGentも中国の代理店からの要請を受け、1月17日に開発に乗り出した。

各社とも、下部の慎重論をトップが覆し、開発に乗り出したとされる。1月20日に韓国で最初の確定患者が出る前に試薬の製造に入った。

韓国政府も通常1年程度かかる認証を数週間に短縮した。

食品医薬品安全処は2017年3月の新型感染症発生時に、新規診断試薬と検査法を即時に利用できる緊急使用承認制度を導入した。

未知の感染症が発生したら緊急性を考慮して臨床試験などを省略し、新診断法を迅速に審議してすぐに使えるようにした。

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