OPECプラス、追加減産で決裂、3月末で減産終了

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石油輸出国機構(OPEC)加盟国 とロシアなどの他のの主要産油国で構成するOPECプラスは日量210万バレルの減産を行っているが、3月末に期限を迎える。

OPECは、新型コロナウイルスの感染拡大による景気失速懸念で落ち込む原油価格を下支えする ため、減産継続、減産強化を主張するが、減産拡大に慎重なロシアの反発は強く、調整は難航していた。

2月初めのOPECプラスの合同専門委員会はサウジの主導で減産幅を60万バレル広げるよう勧告したが、ロシアは同意を留保した。

OPECは3月5日夜、原油生産の追加削減に抵抗するロシアの同意を待たずに、現状から日量150万バレル拡大し、今年末まで実施する案で一致したと発表した。

OPECは非産油国抜きでウィーンで臨時総会を開催し、ロシアの参加を条件にOPECプラスの現行枠組みを今年末まで延長するとともに、6月末までは現状から日量150万バレル拡大する案でいったん合意した。OPECとして100万バレル、非OPECが50万バレルとするものであった。

その後、さらに強力な減産が必要と判断し、減産拡大の期間を今年末まで延長する案で一致した。

しかし、OPECプラスは3月6日協議を行ったが、追加減産で合意できず、協議は決裂した。サウジアラビアが一段の減産を迫ったが、ロシアは拒否した。

ロシアのエネルギー相は会合終了後に記者団に対し、「きょうの決定を踏まえると、OPECプラスの全ての国は4月1日から減産の義務がなくなる」と述べ、自由に生産できるようになるとの認識を示した。

新型コロナウイルスの影響による石油需要の減少を埋め合わせることができないだけでなく、日量210万バレルの既存の減産が今月末の期限をもって終了するという、石油市場にとっては二重の打撃を意味する。

原油価格はすでに、過去2年余りで最低の水準にある。

3月6日のWTI終値は、決裂の報道を受け、前日比4.62ドル安の41.28ドルとなった。


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OPECは2019年12月6日、ウィーンの本部でロシアなどOPEC非加盟の産油国も参加する閣僚級会合を開き、原油の減産規模を日量50万バレル拡大させることで合意した。

2019年1月から実施している日量120万バレルの協調減産の規模を50万バレル拡大し、170万バレルとする。
年明け1月以降、2020年3月まで実施する。

2020年3月末までとしている減産期間の延長は盛り込まず、延長の是非を3月上旬に協議することとした。サウジのエネルギー相は「この協力体制は続いていく。今後は状況を確認しながら、追加の対策が必要かどうかを確認する必要がある」と述べた。

OPECプラスの決定は最近の生産水準を追認する規模でしかなかったが、その後の記者会見で、サウジは独自で更に日量40万バレルの減産を自発的に行うと表明した。 減産合計210万バレルとなる。自発的な追加減産は他のOPEC加盟国がそれぞれの生産目標を完全に履行することが条件になるとくぎを刺した。

2018年10月の生産量をベースとする減産量は下記の通りとなる。

2019/1~ 2020/1~ サウジ自主 合計
OPEC 80万バレル 37万バレル 40万バレル 157万バレル
非OPEC 40万バレル 13万バレル 53万バレル
120万バレる 50万バレル 40万バレル 210万バレル


2019/12/10 OPECプラス 追加減産、サウジが予想外の自発的追加減産 

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サウジの2020年度の予算の前提は1バレル60ドルと推定されている。SaudiAramcoの株価を引き上げたい皇太子の意向もあり、原油価格の下支えに懸命である。

これに対し、プーチン大統領によるとロシアの予算前提は北海ブレンドで年平均42.40ドルで、サウジと大きな差がある。

ロシアの石油各社の多くは、現在の枠組みの6月末までの延長には賛成だが、減産幅拡大には反対している。

ロシアは原油相場が下落しても数カ月かけて自律的に再調整されるとみている模様。 また、米国がシェールオイルの増産を続けているのに不満である。


なお、Bloombergによると、ロシアはこれまで減産をほとんど守っていない。

減産義務に対する実際の減産の割合

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