Saudi Aramcoは3月16日、2019年度決算の詳細を発表した。
結果は下記の通り、294億ドルの減収、229億ドルの減益となった。(米ドル換算 1.00 US$=SAR 3.75)
単位:百万ドル | ||||||||||||||||||||||||
|
税引後損益の悪化、229億ドルの理由は下記の通り。
原油の価格低下と販売量減少 -284億ドル 価格 -5.4ドル/bbl、数量 -0.4mmbd
石油化学等のマージン低下 -27億ドル 子会社SadaraChemical の減損損失 -16億ドル 下記
その他 -23億ドル 税金 121億ドル 差引合計 -229億ドル
2019年度の設備投資は328億ドルで、2018年の351億ドルから減少した。2020年度については、状況をみながら、250~300億ドルを見込んでいる。
Saudi Aramco は2019年12月11日、国内証券取引所タダウルに株式を公開した。
2019/12/6 アラムコIPO、史上最大の2.7兆円調達
このこともあり、大幅減益にもかかわらず、増配した。
2017 2018 2019 配当額 500億ドル 580億ドル 732億ドル 税引後利益 759億ドル 1,111億ドル 882億ドル 2020年度については、上場時の目論見書記載の通り、最低750億ドルを支払うとしている。
Sadara Chemical と、減損損失について
Sadara Chemical Company (Forefront Chemical Companyの意味)はSaudi AramcoとDowのJVで、2011年11月28日にJV設立を発表した。
総投資額は200億ドルと見込み、自己資本で35%、輸出信用機関や金融機関からの借入金で65%を賄う。
当初は、Aramco 65%、Dow 35% でスタートし、一部を公募し(2014年初めを予定)、残りを両社が均等出資することとしていた。
2016年8月29日に Cracker の start-up を発表、同年11月30日に開業式を行った。
同社の製品と能力(千トン):
Etylene 1,500 LLDPE 375 x 2、LDPE 350、
Elastomer 220 (Metallocene) + 250 (Ziegler Natta)、
EO 360、EOA/EA 208、BGE 200Propylene 400 PO 390、PG 70、Polyols 400 Benzene 280 MNB 416、Aniline 316 Toluen 134 DNT 250、TDA 153、TDI 200 Formalin 132 PMDI 400 Nitric Acid 400 Chlor-alkali 115 塩酸 458
2011/7/26 DowとSaudi Aramco、石油化学JV設立を最終決定2017年8月末、両社はMOUを締結し、DowがAramcoからSadara Chemical の持分 15%を引取り、50/50JVにする手続きを進めると発表した。
しかし、現時点ではまだ65/35のJVのままで、公募もしていない。
ーーー
2019年度のSadara Chemical の業績は下記の通り。(百万ドル)
2019 2018 売上高 2,695 3,497 償却費 1,027 1,026 金利 653 602 減損損失 -2,460 税引後損益 -3,907 -1,069
Sadara Chemical では2019年度決算で減損が必要とみなし、2,460百万ドルの損失を計上した。この結果、Saudi Aramcoはその65%の16億ドルの減損損失を計上した。
ーーー
Saudi Aramco は2019年12月11日、国内証券取引所タダウルに株式を公開した。初値は値幅制限の上限となる35.2リアルを付け、時価総額は約1兆8770億ドルと、米Apple(約1.2兆ドル)を上回り、世界最大の上場会社となった。(1.5%上場分の株価によるもので、実際の価値ではない。)
今回のコロナショックでAramco 株も暴落した。
3月16日には27.80SARと、初値から21%の下落となった。時価総額は1兆4800億ドル程度となる。
ムハンマド皇太子がこれまで主張してきた「2兆ドル」を大きく下回る。
コメントする