トランプ大統領は4月16日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染者が少ない地域から経済活動の再開を3段階で進める新指針(Guidlines for Opening up America Again)を発表した。
トランプ大統領は3月16日、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、若者や健康な国民に対し、10人を超える集まりや、旅行、レストランやバーでの外食を自粛するよう呼び掛けた。病気の時は外出しないなど、国民向けの15日間の行動指針として公表した。3月29日には行動指針を4月30日まで延長する意向を明らかにした。
ニューヨーク州は、3月22日午後8時から、警察や医療従事者などの一部の仕事を除いて、すべての社員や従業員などの出勤を禁じたほか、住民に外出を控え自宅にとどまるよう求めた。
カリフォルニア州では3月19日、州内のすべての住民に対し、食料品を購入したり病院に行ったりするなど必要最低限の場合を除いて、外出を控えるよう知事命令を出した。多くの州が同様の措置をとった。
この結果、経済活動は大幅に滞り、雇用環境が悪化している。
11月の大統領選で再選をめざすトランプ大統領は経済の立て直しを急いでいる。
新指針を基に、各州知事の判断で段階的に緩和を進めていく。一部の州は、今月中にも経済活動を再開できると示唆した。
トランプ大統領は「戦いにおける次のステップは、アメリカを再び開くことだ(Opening up America Again)。アメリカは経済の再開を望んでいる。そしてアメリカ国民も経済の再開を望んでいる」と述べた。
ミシガン、オハイオ、ウィスコンシン、ミネソタ、イリノイ、インディアナ、ケンタッキーの各州知事は連携して経済活動を再開するとの合同声明を出した。「各州の経済は互いに依存しあって成り立っている。勤勉な人々が職場に戻り、事業が立ち直れるよう、私たちは連携して、経済活動を安全に再開しなければならない」としている。
しかし、患者の多いニューヨーク州のクオモ知事は、同州は5月15日まで在宅命令を継続すると述べた。
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新指針は各地域が経済の再開を判断するための要件を設けた。
(1) 病気の報告と症状の報告件数が14日間、減少傾向
(2) 確認された件数 又は 検査件数のうちの陽性の件数が14日間、減少傾向
(3) 病院で緊急対応なしに全ての患者の治療ができ、かつ、危険にさらされているヘルスケア要員に抗体検査を含めた十分な強力な検査プログラムがあること
これらの要件を満たせば、まずPhase Oneに進み、さらに、新たにこれらの条件が満たされれば Phase Two、Phase Threeに進む。
それぞれの段階では、以下のように決められている。
個人 | 雇用者 | 特別雇用者 | |
Phase One | 老人や重大な疾患を持つ人は避難を続ける。 その家族はウイルスを持ち帰らないように。 公共の場所では他人から距離を。 10人以上のレセプションや展示会のような集会は十分な距離を撮れない場合は避ける。 不要不急の旅行は最低限にし、CDCのガイドラインに従う。 |
テレワークの推奨
出来れば、段階的に職場復帰 人が集まる共同エリアは閉める。 必須でない旅行は最低限にし、CDCガイドラインに従う。 老人や重大な疾患を持つ人の家族には特別な場所を考える。 |
学校や保育施設は閉鎖を継続
大規模施設(食堂、映画館、スポーツ施設、宗教関係など)は距離を保つことを厳密に守る。 ジムは、厳密に距離を保ち、衛生規則を守る場合にオープンできる。 バーは閉鎖継続。 |
Phase Two |
老人や重大な疾患を持つ人は避難を続ける。 その家族はウイルスを持ち帰らないように。 不要不急の旅行も可能に。 |
テレワークの推奨継続
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学校や若者の集団活動(デイケア、キャンプなど)は再開。
大規模施設(食堂、映画館、スポーツ施設、宗教関係など)は距離を保つことを厳密に守る。 緊急でない手術も再開可能。 ジムは、厳密に距離を保ち、衛生規則を守る場合にオープンできる。 バーは立ち飲み場所の人数を減らして営業可能。 |
Phase Three |
老人や重大な疾患を持つ人も活動再開可能だが、予防措置が無い場合は距離を離す。
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就業場所での制限を外す。 | 老人施設や病院への訪問再開。 ジムは再開。 バーは立ち飲み場所の人数を増やして営業可能。 |
各州により事情は異なるが、米国全体では死者はなお増大を続けている。
4月17日に米国の死者は3万4千人を超えた。ニューヨーク州では1万4千人を超え、うちニューヨーク市は1万2千人以上である。
下図の通り、現在も死者数の増加は止まっておらず、米国全体として Phase one に移れるのには、まだまだ時間がかかると思われる。
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