米国で4800億ドルの3.5次対策で合意、更に第4次対策を検討 

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トランプ米政権と与野党の議会指導部は4月21日、4840億ドルの新型コロナウイルス対策で最終合意した。第3弾の対策の補充で、COVID-19 3.5 relief packageと呼んでいる。

上院は関連法案(Paycheck Protection Program and Health Care Enhancement Act )を同日可決した。下院も23日に可決し、大統領に送った。

これまでの3回の経済対策と合わせ、財政出動は2兆8千億ドルになる。

今回、中小企業の雇用対策など(Paycheck Protection Program) に3700億ドルの追加資金を用意し、医療体制の整備(Health Care Enhancement) にも1000億ドル強を投じる。

主なものは下記の通り。

・中小企業庁の Paycheck Protection Program (PPP) の補充に3200億ドル

3月27日に議会は第3弾の2兆ドル規模の景気刺激策の法律(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act=CARES Act)を通した。

この一部が中小企業のレイオフ回避、給与支払い補助のための3490億ドルの基金であるが、4月4日の受け付け開始から中小企業の利用申請が殺到。4月16日に早くも上限に達した。

このため、大幅に増加する。

このうち、600億ドルは中小企業向けの融資機関に支給され、銀行融資を受けられない企業に資金が行くようにする。

・医療機関のCOVID-19関連の費用、収入減支援に750億ドル(CARES Actでの1000億ドルの追加)

・地方や無保険者の新型コロナの検査に250億ドル

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トランプ大統領は4月21日の記者会見で「中小企業に追加資金を供給するため、迅速に関連法を成立させる」と述べ、ムニューシン財務長官は「これまでの中小企業の資金支援で既に3000万人の雇用維持につながった」と政策効果を強調した。

大統領は、この後すぐに『経済対策第4弾』の議論に入るつもりだと表明した。「地方でのインフラ投資や給与税の減税など、次策の議論を開始する」と述べた。

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これまでの新型コロナウイルス対策は下記の通り。

第一弾:

トランプ大統領は3月6日、議会上下両院が可決した新型コロナウイルス対策用の83億ドルの緊急補正予算法に署名し、同法が成立した。

可決された83億ドルの予算のうち、ワクチンなどの研究・開発費用(30億ドル以上)、連邦・州・自治体の公共衛生機関への財政支援(22億ドル)などが含まれる。
ビジネス支援に関しては、10億ドルを新型コロナウイルス拡大により資金的損害を受けた中小企業などへの低利融資に充てるとしている。
また、4億3,500万ドルを外国の医療機関への支援として計上している。

第二弾:

トランプ米国大統領は3月18日、議会が可決した第2弾の新型コロナウイルス対策法案(「家族第一・コロナウイルス対応法」)に署名し、同法が成立した。

第2弾の対策法では、個人への支援が主となっており、新型コロナウイルスの検査無償化や、従業員がウイルスの影響で休暇を取得せざるを得ない場合の所得保証などが盛り込まれている。

新型コロナウイルスの検査無償化については、無保険者向けの公的プログラムに資金を拠出するとともに、民間医療保険に被保険者の検査費負担を無料にすることを義務付けている。

コロナウイルスの影響で出勤できない従業員への雇用の保証や有休疾病休暇の与え方、給与の支払い額、休業した従業員に支払った給与の税控除などについて定めている。

このほか、低所得者向けの食料補助プログラムや、失業保険拡充のための各州への財政支援などが含まれている。

第三弾:

3月27日に議会は第3弾の2兆ドル規模の景気刺激策の法律(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act=CARES Act)を通した。

法案の内容は下記の通り。

 ・個人に1200ドル(夫婦に2400ドル、子供一人に500ドルずつ)の現金支払い(年収75000ドル以上の場合は減額)
 ・中小企業の、レイオフ回避、給与支払い補助のための3500億ドルの基金
 ・被害を受けた産業へのローン、保証、投資のため財務省が5000億ドルを用意
 ・ローンを受けた企業は、その期間は自社株の買戻しを禁止、その企業で425千ドル以上の給与を受ける役員等は次の2年間昇給無し
 ・保険業者は追加コストなしでコロナウイルス予防サービスを対象に加える。
 ・雇用維持の税額控除
 ・ヘルスケア補助に2400億ドル、病院補助に750億ドル、退職軍人のヘルスケアに200億ドル、緊急公共輸送に200億ドル、空港救済に100億ドル、CDC補助 45億ドル、
   航空会社補助のローンに500億ドル、貨物航空補助に80億ドル、国防維持に必要な事業(不特定)の補助に170億ドル
 ・失業保険強化(各州の規定に加え、最長4カ月、週600ドルを加算)

2020/3/26 米与野党、2兆ドルを超える緊急景気浮揚予算案で合意

今回は第三弾の補充のCOVID-19 3.5 relief packageである。この後、第四弾が予定されている。


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