BCGはCOVID-19に効くか?

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全米の感染者は31万2千人を超え、死者は8500人超となった。

幸いにも日本の場合、米国や欧州諸国に比べると、感染者、死者はまだ少ないが、日本でも増加しつつあり、いよいよ、緊急事態宣言が出される。

Can an Old Vaccine Stop the New Coronavirus?)と題する記事を掲載した。副題は、「1世紀前に開発されたワクチンは安価で安全で、人体の免疫システムを増強するようだ」というもの。

3月30日にメルボルンの科学者がBCGワクチンとプラシーボ(偽薬)を使い、数千人の医者やヘルス関連従業員を対象に新型コロナウイルスに対するワクチンの有効性についての臨床テストを開始したという。

https://www.nytimes.com/2020/04/03/health/coronavirus-bcg-vaccine.html

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免疫学の第一人者である大阪大学免疫学フロンティア研究センターの宮坂昌之招聘教授がBCGワクチンの接種と新型コロナウイルスについて解説するコラムがある。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200405-00171556/

下記は宮坂教授の資料を本ブログが組み換えたもので、各国のCOVID-19による100万人当たりの死亡数と、BCG注射の状況を対比したもの。

100万人
当たり
死亡
BCG注射 BCG亜株
現在も継続 過去に実施 実施せず
スペイン 259.7 Denmark
イタリア 253.9 X Denmark
フランス 120.6 Denmark
英国 69.6 Denmark
イラン 46.7
スウェーデン 40.1 Denmark
米国 27.2 X TICE
ポルトガル 25.1 Denmark
ドイツ 17.5 Denmark
ノルウェー 12.9 Denmark
トルコ 6.9 ソ連/Bulgaria
韓国 3.7 1種以上
中国 2.5 ソ連/Bulgaria
イラク 1.8 Japan
豪州 1.4 Connaught
日本 0.6 Japan
台湾 0.2 Japan?


これからは下記の傾向がみられる。

①広範なBCG接種をしている国は死亡率が低い。現在やっていない国は総じて死亡率が高い。

 宮坂教授のコメント   (  )は本ブログの付記

100万人当たりの死亡者数が10以下の国が7カ国あり、そのうちの6カ国が広範なBCG接種を現在行っている。

その6カ国のうち、3カ国がBCGワクチンの日本株、2カ国が旧ソ連株を使っている。(後記)

これまで広範なBCG接種をやっていなかったアメリカ、イタリアは人口100万人当たりの死亡率は高い 。
(スペインは16年間しか実施せず、1981年に廃止した。)

欧州諸国は、ポルトガル以外は広範なBCG接種はかなり前に止めていて、これらの国では軒並み死亡率が高い。ノルウェーは死亡率が低め だが、この国は他の北欧諸国よりも長く広範接種を続けていた。

スペインの隣国のポルトガルは、他の欧州諸国と同じデンマーク株を使っているが、現在も広範なBCG接種を続けている。

(死者の多いイランの隣国のイラクは日本株の接種を現在も行っており、死者は少ない。)

②ワクチンのうち、ソ連株、日本株を使う国は死亡率が低い。死亡率が高い国はDenmark株が多い。


日本株とソ連株は、デンマーク株と細胞膜構成成分が異なる。

日本株とソ連株は他の亜株に比し、 結核に対して免疫を起こす力は同程度だが、 生菌数が非常に多い。

③ ここでは分析していないが、感染率と異なり、死亡率の場合は医療体制の問題がある。


これだけから見ると、「日本株」をずっと接種してきた日本は死亡率が低くとどまる可能性はある。

但し、宮坂教授も、全く相関がなさそうな二つのことが同様の変化を示す例をあげ、「BCGの効果についても慎重な検討が必要だと思います」 としている。

日本ワクチン学会は4月3日、 「新型コロナウイルス感染症に対するBCG ワクチンの効果に関する見解」を示した。

(1)「新型コロナウイルスによる感染症に対してBCGワクチンが有効ではないか」という仮説は、いまだその真偽が科学的に確認されたものではなく、現時点では否定も肯定も、もちろん推奨もされない。

(2)BCGワクチン接種の効能・効果は「結核予防」であり、新型コロナウイルス感染症の発症および重症化の予防を目的とはしていない。また、主たる対象は乳幼児であり、高齢者への接種に関わる知見は十分とは言えない。

(3)本来の適応と対象に合致しない接種が増大する結果、定期接種としての乳児へのBCGワクチンの安定供給が影響を受ける事態は避けなければならない。

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但し、これが偶然の一致ではなく、BCGについては実際に効果がある可能性もある。

リーレクリニック大手町は「BCGワクチンと新型コロナウイルス感染症」で、BCGワクチンのオフターゲット効果(結核予防以外の効果)について述べている。

肺がんへの予防効果の報告

小児期にBCGワクチンを受けた人の肺がん罹患率は18.2例/10万人年、プラセボ群では45.4例で、有意に肺がんが低下したという。

BCGワクチンが膀胱がんの治療に用いられていること、喘息や寄生虫などに有効

膀胱がんに対して非常に重要な治療法として膀胱内注入療法がある。筋層非浸潤性がんに対して積極的に行われる。

膀胱内注入療法は、抗がん剤あるいはBCG(ウシ型弱毒結核菌)を生理食塩水に溶解して、尿道から膀胱に挿入したカテーテルを通じて膀胱内に注入し、ある程度の時間排尿せずに薬剤を膀胱内に接触させる方法。(国立がん研究センター)

BCG膀注療法は再発の抑制効果があることが確認されているという。

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